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「悪」は存在しないかもしれないけど、「悪人」は存在する気がする/濱口竜介監督『悪は存在しない』
『ドライブ・マイ・カー』でも音楽を担当した石橋英子さんのライブ映像の製作をきっかけに作られた『悪は存在しない』。
昨年のヴェネチア映画祭で初お披露目となったこの作品は、濱口竜介監督の2年ぶりの新作でしたが、制作されていたこと自体が衝撃のニュース(ほんとに誰も知らなかったのよ!)だった上、銀獅子賞(審査員大賞)と国際映画批評家連盟賞をW受賞したもんですから、本当に驚きました。
アカデミー賞受賞後の初の新作でもあり、日本公開がいつになるのかヤキモキしていましたが、ようやく今週末公開となりました。
ミニシアター中心の公開とキャスティングの意味
そんな待ちに待った公開だったのですが、なんと今週末の公開は、関東では2館のみ!
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マジで「コ●ン」フザけんなよ〜と思ったのは自分だけではないはず。しかし、これはもちろん「コナ●」のせいではなく、濱口監督の方針によるもの。
映画製作においては製作費の問題がついて回りますが、国際的な評価を受けた後も芸術性と商業的成功のバランスをいつも考えている点は、これまでの監督にはない新世代の監督という感じ…。
学歴=頭の良さではもちろんないのですが、「さすが東大出身、賢いな…」と唸ります。
オスカー参戦の可能性は?/スコアを比べてみる
オスカーウォッチャーとして気になるのは、北米賞レースの参戦の可能性です。
RottenTomatoesとIMDbの評価を比べてみましょう。
RottenTomatoes
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やはりといいますか、『ドライブ・マイ・カー』のほうが評価が高いです。まぁ放送批評家協会賞なんかも獲っちゃってますからね…。
ただ決して評価が低いわけではなく、全米公開後のオーディエンススコアと合わせて見てみたいところです。
IMDb
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![](https://assets.st-note.com/img/1714482670285-dq9laYTvcN.png?width=1200)
こちらも『ドライブ・マイ・カー』圧勝。ただこれも決して低くないです。
賞レース参戦の可能性は五分五分だけれど
以上を踏まえると『ドライブ・マイ・カー』ほどの絶賛とは言えないものの悪くない評価であり、賞レース参戦の可能性は充分。
但し『ドライブ・マイ・カー』が勝る部分は正直かなりあるというのが正直なところです。
キャストが地味
『ドライブ・マイ・カー』は西島秀俊さんに岡田将生さんと、メジャーの俳優が出演していましたが、『悪は存在しない』はほぼ無名の俳優の方ばかりです。
海外の人は西島さんや岡田くんは知らないだろうって?
それは実際そうだと思いますが、今回改めて『ドライブ・マイ・カー』を観て、西島さんと岡田くんの圧倒的な華を実感しましたね…。
それに加え霧島れいかさん、三浦透子さん、ソニア・ユアンさん、パク・ユリムさんも自国で活躍している俳優ですから侮れない存在感です。この点は拭えないと思いますね。
村上春樹原作
『ドライブ・マイ・カー』は言わずと知れた村上春樹さんの原作を元にした作品で、そのストーリーに支えられた部分がかなり大きいと思いました。
あとはようやくまともな映画になった村上春樹モノという点も…。
3時間という長さでも飽きを感じなかったのは、村上春樹さんのエピソードの強さが寄与する部分がかなりあったのではないでしょうか。
村上春樹さんは短編が圧倒的に面白いと自分は思うので、それを繋ぎ合わせたというのはもう反則技に近いというか…。
(長編だと『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が好きです。)
ストーリーも地味
『悪は存在しない』は長野県を舞台にした作品ということもあり、村上春樹さんのやれやれ…なストーリーと比べるとエピソードがやはり弱いです。
ただそれが逆に驚きの展開になっていくという部分もあるので、面白さと表裏一体の部分でもあるのですが。
あと独特の日本感みたいなものも描かれているので、その点も理解しづらい部分がかなりあるように思います。
「責任を取らない経営者」とか、「アホみたいな業務委託料を取る胡散臭いコンサル」の描写とかは「こういうのが嫌で、おれ会社辞めたんだった!」というトラウマを思い出させてくれて、個人的にはかなりツボではあったのですが。
本日のドレス:オクタビア・スペンサー
オクタビア・スペンサーがいつも着用しているのは、我らがタダシ・ショージ。
相当お気に入りのようで、アカデミー賞を受賞したときからずっと着てくれてて有り難い限り。確かにいつも似合ってるのよね。(★★☆)
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