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トロント観客賞に推して大外しした『フローラとマックス』が配信スルーされたので早速観ました

 トロント映画祭で観客賞に予想していた『フローラとマックス』。

 公開前だったのでもちろん鑑賞しておらず、フィールグッドムービーっぽい&AppleTV+(Appleは『コーダ あいのうた』を当時最高額で買いつけ、配信系映画会社としてはじめてアカデミー賞作品賞を受賞)という理由で予想したのですが、大外れ。

 受賞したのは’American Fiction’でした。
(この受賞に驚いたひとは多かったみたいです)

 そんな『フローラとマックス』、アッサリと先月末からAppleTV+で配信開始されたので、無料期間で(こすい)拝見させていただきました。

監督ジョン・カーニーと"スーパーモデル"

 ぼーっと観ていたらジョセフ・ゴードン=レヴィットが出てきてビックリ。

 というのもこの作品の監督、ジョン・カーニーは『はじまりのうた』で主演に迎えたキーラ・ナイトレイをボロクソに評して、「スーパーモデルとの映画は二度と作らない」と公言したのです。

 キーラ・ナイトレイはアカデミー賞に2回ノミネートしており、『はじまりのうた』でも好演していましたので、正直その評にも疑問を感じました。
 ただ公開から3年も経ってそんなことを言ったということは、よほど腹立つことがあったのだろうと、ハリウッドスターとの仕事はもうしないのかなと思いました。

 実際次作は『シング・ストリート 未来へのうた』で、スターの出演はありませんでした。

 なのでいきなりJGLが出てきて驚いたのであります。

ギターはそんな簡単に弾けるようにならないし、JGLみたいなイケメンはめったにいない

 主人公フローラは、オンラインギターの講師であるJGLに惹かれ、音楽と触れることに楽しみを見出していくのですが、その過程がちょっとご都合主義なんですよね…。

 記憶違いだったらアレなのですが、オンラインレッスンではじめて弾くコードが"Cメジャー"なんですよ。

 Cメジャーって最初のほうに覚えるコードではあるんですが、バレーコードじゃないってだけで、結構難しいんですよね。
 「さあ、弾いてみて」って言っていきなりキレイな音が出るコードじゃないんです。ひとによるかもだけども、個人的には皆がつまづくと言う"F"より難しいと思うんですよね。

 時間経過を見ても、そんな簡単に弾けるようなもんじゃないんですよ、ギターってやつは。

 でも不思議なのは、フローラがオンライン講師を探しているシーンで出てくる講師陣は「練習が大事だ」とか「練習!練習!練習!」とか言ってて、そっちのほうが事実で、それも描写してるんですよね。
 あとフローラがギターをはじめたってことに対して、あるキャラクターが「お前に弾けるはずがない。見ろ、おれのこの20年の"タコ"を。」とか言うシーンもあるんですよ。

 このキャラクターが言うくらい、地道にクロマチックの練習とかできそうな性格にどう考えても見えないんですよね。

 一番ありえないのは、JGLみたいな世界屈指のイケメンがオンラインギターの講師やってることかな…。

よくできてるけど、作風は相変わらず

 代表作の『ONCE ダブリンの街角で』でも『はじまりのうた』でもそうだったんですけど、ジョン・カーニー監督の作品っていい感じのカップルが、絶対結ばれないのです。いやらしい意味で。

 『ONCE〜』ではそれがうまく働いてたと思うんですが、以降の作品では逆に現実味がなくなっちゃってる感じがします。自分が毒されすぎてるだけかもしれませんが…。

 なので『ONCE〜』で感動して観続けてる自分としては、歯がゆいというか、ちょっと残念なんですよね〜。
 だから今回は期待してトロントの観客賞を予想してみたんですけど、そういう意味では期待外れでございました。

 が、ジョン・カーニー監督作を観たことないひとには、かなりオススメ!
 主人公が成長するようで、それほど事態が改善しているわけではないので、そこは現実的だし、フィールグッドムービーなのは確かなので、考えさせられる映画とか観客に判断を委ねる作品とか、1回では理解できないものとかにちょっとウンザリしてるひとは観て欲しいです!

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