幸せなおじぞう(第2話)
男が夢の中でごみだめのような部屋の壁を蹴飛ばしていると
お地蔵さんがすうっと目の前に現れました。
男がびっくりして眺める前で
お地蔵さんは大きく大きく大きくなって
男を腕の中に抱き上げました。
男は逃げ出そうとしましたが、赤ん坊のように手も足も出ません。
「こんなところにいたら、危ないところに落ちてしまう。
もっと安全なところに連れて行ってあげましょう。」
お地蔵さんはいくつかの部屋を通り抜け、
男をふかふかのお布団のうえにそっと置きました。
どどどという音で男が目覚めると、
山が崩れて、ふもとの家は埋まっていました。
お地蔵さんも土に埋まって姿が見えません。
何故か自分だけ
無事に助かっておりました。
(幸せなおじぞう 第2話 おわり)
次回予告:
土の中からかすかに聞こえる声を辿って、
がれきを掘り返してゆくと、そこには、、、