幸せなおじぞう(第3話)
男が呆然としていると、どこからか小さな泣き声が聞こえてきました。
かすかに聞こえる音を頼りに、がれきを掘り起こしてゆくと、
小さなひとりの赤ちゃんが泣いていました。
赤ちゃんは倒れかけたたんすの隙間に怪我一つなく生きていました。
男がそうっと赤ちゃんを抱き上げ、安全そうな場所へもどってくると、
どうっという音をたてて崖が崩れ、家はすっかり埋まってしまいました。
やがて集まってきた村人たちと一緒に、
男は土を掘り、がれきを除いていったのですが
赤ちゃんのほかに助かったひとは誰もいませんでした。
男は村人たちと一緒にあたり広く一面を掘り返したのですが、
お地蔵さんはどこにも見つかりませんでした。
(幸せなおじぞう 第4話 おわり)
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