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ハナヤマのパズルゲーム「ロジカルニュートン」の新作『野口英世の研究』を紹介してみる

以前に、日本の玩具メーカー、ハナヤマから発売している2020年に登場したパズルゲームシリーズ「ロジカルニュートン」について、いくつかnoteしました。

『ガリレオの鉄球』のあと、2021年に入ってから新作は出ていなかったので、フェードアウトかと思いきや、

昨年末発売。
遅ればせながら、紹介記事を書いてみます。

『Dr.Eureka』

『野口英世の研究』と類似したボードゲームが、すでにあります。
BlueOrangeの『Dr.Eureka(ドクター・エウレカ)』です。



試験管に入った薬品(ボール)を移し替えるアクションは、『野口英世の研究』と同じです。

どちらもパズルゲームなのですが、『Dr.Eureka』は2~4人がいち早く問題の解答を競い、『野口英世の研究』は1人で問題を解くことがメインとなります。

コンポーネント、扱い方の違い

◆試験管:
薬品に見立てたボール(細かい特徴などは後述)をいれる、試験管にあたる透明な筒です。

『Dr.Eureka』では、ボールが3個入る筒が12本梱包されています。
1人あたり3本の割り当てです。

『野口英世の研究』は、ボールが
・2個入る筒が4本
・3個入る筒が4本
・4個入る筒が4本
の、計12本梱包されています。

さらに細かく見ると、『Dr.Eureka』は筒の底に縁がついています。『Dr.Eureka』は、早く解くことを競うゲームなので、多少乱暴に置いても倒れないようにするためです。

◆薬品:
筒に入れるボールです。

『Dr.Eureka』は、赤、緑、紫のボールが各8個、計24個あります。

『野口英世の研究』は、赤、青、黄、緑のボールが各4個あり、1から4の番号が書かれています。
さらに、透明なボールも2個あります。

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◆試験管と薬品の扱い方:
双方のゲームともに、
・試験管から別の試験管へ、薬品を移し替える。
・試験管の上にある薬品から取り出し、別の試験管に(すでに入っている薬品)上から追加する。
ことになります。

『野口英世の研究』は、2つの試験管の口をあわせて、ひっくり返して薬品を移し替えます。
たとえば、

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左:3個サイズ試験管(薬品は上から青青黄と入っている)
右:4個サイズ試験管(薬品は上から赤黄と入っている)
の2つの試験管で、左の試験管の薬品を右に移し替えると、
左:黄
右:青青赤黄
となります。
1個だけ移し替える、
左:青黄
右:青赤黄
はできません。

『Dr.Eureka』は、上の例で説明した「1個だけ移し替える」ことができます。
そもそも、試験管がすべて同じ大きさなので、「薬品が1個だけしか入っていない試験管」にするには『野口英世の研究』の方法だと、できません。
さらにいえば、低年齢者であれば薬品を手で掴んでもよい選択ルールもあります。

『野口英世の研究』の1人パズルゲーム部門

『野口英世の研究』が用意したパズルの問題は80問。
最初の問題は、
・試験管に入っている同じ色の薬品を、1本の試験管にまとめる
です。

ソロエ

上の例題だと、4回でできます。

薬品には数字が書いているので、
・それぞれの試験管に入っている薬品の数字の合計を、同じにする
という問題もあります。

アワセ

上の例題だと、2回でできます。
※透明な薬品は「水」みたいな扱いで、色に数えたり、数字に加えたりはしません。

他にも、毛色のことなる問題がいくつかあります。

『野口英世の研究』の対戦ゲーム部門

『野口英世の研究』1人でパズルを解く以外に、2人で対戦するゲームも3つ用意されています。
・組み合わせをつくろう
・早く分けよう!
・コロコロ三目並べ

タイトルがなんというか面白みにかけるが、馬鹿にできない。
今回紹介する2つ「組み合わせをつくろう」「コロコロ三目並べ」は、なかなかよく考えられたアブストラクトゲームになっています。

◆「組み合わせをつくろう」

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上の写真は、ゲーム開始時の準備した状態です。
プレイヤーの1人は、左側の2つの試験管(2個サイズと3個サイズ(上から赤青青の薬品))。
もうプレイヤーの1人は、右側の2つの試験管(2個サイズと3個サイズ(上から青赤赤の薬品))。
中央には、2個サイズ、3個サイズ、4個サイズ(それぞれ黄の薬品)があります。

プレイヤーは互いに、自分の持つ2つの試験管と中央の3つの試験管のどれかを、別の自分の持つ2つの試験管と中央の3つの試験管に、薬品を移し替えます。

プレイヤーが勝つ条件は、自分の持つ3個サイズの試験管に、
・同じ色の薬品を3個入れる
または
・3色の薬品を1個ずつ入れる
です。

勝ちの例を示してみます。

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上の状況で、左側のプレイヤーの手番です。
右側のプレイヤーは、中央の4個サイズの試験管を、自分の3個サイズの試験管に移し替えると、赤3色となるので勝ちが見えていますね。
左側のプレイヤーは、中央の4個サイズの試験管を、自分の3個サイズの試験管に移し替えます。

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左側プレイヤーの3個サイズの試験管には、赤黄と入っているので、あとは青の薬品を入れると勝ちです。
しかし、右側プレイヤーは、中央の2個サイズの試験管、3個サイズの試験管、あるいは自分の3個サイズの試験管の薬品を移し替えても、左側プレイヤーの勝利を止めることはできません。

コンパクトで手順も長くならない、佳品ゲームです。


◆「コロコロ三目並べ」

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試験管は、
・2個サイズを4本(3×3の角に配置)
・3個サイズを4本(3×3の辺に配置)
・4個サイズを1本(3×3の中央に配置)
合計9本を用意して並べます。

2人のプレイヤーは、4色16個の薬品を2色ずつ(例えば、赤と黄・青と緑のように)持ちます。

プレイヤーは互いに手番に、
・手持ちの薬品1個を、試験管に入れる
または
・試験管に入っている薬品を、別の試験管に移し替える
を行います。

プレイヤーの勝利条件は、
・試験管を上から見たときに、自分の受け持つ色の薬品3個が、タテ・ヨコ・ナナメに一直線に並んでいる
です。

では、プレイ例です。
赤黄をもつプレイヤーと青緑をもつプレイヤーとの対戦です。

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赤黄プレイヤーの手番です。
青緑プレイヤーは、手持ちの青をすべて試験管に入れています。
左にある青の入った3個サイズの試験管を、中央の4個サイズの試験管に移し替えると、中央タテに青が3つ並びます。
赤黄プレイヤーは、阻止したいですね。

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赤黄プレイヤーは、左にある青の入った3個サイズの試験管に、手持ちの黄を入れました。
これで、中央ヨコにリーチができました。
しかし、これは失敗です。

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青緑プレイヤーは、中央の4個サイズの試験管を動かして、左の3個サイズの試験管に黄を1個移し替えました。
これで、中央タテに青が3つ並びましたので、勝ちです。

……って、このゲーム。

すごいよくできているじゃないか。

隠れた名作と呼ばれてほしいです。
いや、隠れちゃダメか。

終わり

『野口英世の研究』の紹介でした。
ロジカルニュートンはこれで通算8作目です。
前回の『ガリレオの鉄球』で、最高傑作と讃えたのですが、別角度から超えました
『野口英世の研究』は、ロジカルニュートン中、アブストラクトゲームで最高傑作、と言ってもいいでしょう。

次の9作目も期待したいです。

では。


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