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せまゲー生半可集(24)~Fractal Tic-Tac-Toe

お久しぶりのせまゲーです。
シリーズの前回が去年10月末になります。


ラジくまるさん

noteのライターにラジくまるさんがいます。

昨年の12月より、ほぼ毎日ボードゲームとパズルの記事を書いておられます。
で、記事を書き始めたきっかけなのですが、お恥ずかしいことに珍ぬが原因だったそうです。

以前に書いた一次元囲碁「Alak(アラク)」の記事が後押しになったそうです。

なんか続けてみるといろんなことが起きるなあ、としみじみ。

さて、今回はラジくまるさんの記事から取り上げつつ、せまゲーを1つ取り上げてみます。

フラクタル構造ボードゲーム

フラクタル構造をしたボードゲームをテーマにした記事です。

記事の中では、「GRYB」や「Fire and Ice」を例にしてあげております。

せまゲー半可集では、「Super Tic-Tac-Toe」やそれを元にして「Super Notakto」「Super Nonnect」を考案してみました。

で、最近になってまた別のフラクタル構造の「Tic-tac-toe」を遅ればせながら見つけました。
それが「Fractal Tic-Tac-Toe(フラクタル三目並べ)」でして、これが一次元盤面のせまゲーなのです。


Fractal Tic-Tac-Toe

「Fractal Tic-Tac-Toe(フラクタル三目並べ)」は「Abstract Games Magazine」の23号の記事「Redefining The Abstract(知アブストラクトの再定義)」で取り上げられていました。

このゲームのYoutube動画もあります。

考案者はイタリアの数学講師、Cesco Reale(チェスコ・レアーレ)さん。
カントール集合(カントールの三進集合とも呼ばれるを盤面にした三目並べです。

ざっくり言葉で説明すると、
・1本の直線を用意します。
・それを三等分して、中央を取り除きます。
・残っている(2本)直線をそれぞれ三等分して、中央を取り除きます。
・残っている(4本)直線をそれぞれ三等分して、中央を取り除きます。
・延々繰り返します。

図にすると以下のようになります。


1番上の直線1本から、
直線の中央を取り除く行為を6回繰り返すと、
1番下のようになる。


「フラクタル三目並べ」の簡単なルールですが、
・2人のプレイヤーは1人は◯をもう1人は✕を受け持ち、交互に空いているマスに1つ書き入れる。
・自分の受け持つ記号を3つ連続して並べると1点。
・全てのマスが埋まった時点で、点数の多い方の勝ち。
・同点の場合は、マスを増やしてプレイを延長

なんか最後アヤしいことを書いておりますが、実際のプレイの様子を図示してみます。

まず、最初の盤面ですがカントール集合の1段階目ですので、


はい、ご覧の通り空きマスは中央の1個しかありません。
先手は◯として、このようになります。


おわかりだとは思いますが、念のため。
双方のプレイヤーともに、自分の受け持つ記号を3つ連続して並べていないのでともに0点で引き分けです。
プレイ延長です。
空きマスを増やしますが、カントール集合の2段階目ですので、


図のように、空きマスを囲んでいる2本の直線に各1個空きマスを増やします。
引き続きゲームを進めると、

上の図のようになります。
2手目3手目が逆になっても、実質勝利条件(同じ記号を3つ連続して並べる)が変化するわけではないので、ここまでは手順が固定しています。

おわかりだとは思いますが、念のため。
双方のプレイヤーともに、自分の受け持つ記号を3つ連続して並べていないのでともに0点で引き分けです。
プレイ延長です。
空きマスを増やして、カントール集合の3段階目です。


空きマスが4個増えました。
ここからがゲームの本番となります。


どちらが必勝?

さて「Fractal Tic-Tac-Toe(フラクタル三目並べ)」ですが、元となった「三目並べ」と特徴を比べてみると似ている点があります。

・先手のほうが1つ多く記号を書ける。
 …「フラクタル三目並べ」の空きマスの総数は、$${n}$$段階目で$${n^2-1}$$個となり奇数あるので、先手が1個多くなる。
・実質後手が最初の手を考える。
 …「三目並べ」は100%中央に書くのが定石で、「フラクタル三目並べ」は
盤面のマスが奇数個なので、延長になると最初のプレイは必ず後手となる。

では「Fractal Tic-Tac-Toe(フラクタル三目並べ)」は、先手と後手、どちらが必勝なのか。
「三目並べ」と同じく引き分けが濃厚かと。

「フラクタル三目並べ」の4手目(後手)を考えてみましょう。

a〜dの4通りありますが、cに◯が入ると◯が3つ並んでしまいますので、先に入れて防御するcの一択です。
残りのマスですが、お互いに負けないような均衡戦略を取るならば「aとd」「bとc」にそれぞれの記号が1個ずつ入るようにするミラー戦略をとります。

そのように進めた、カントール集合の4段階目の例がこちら。

aで後手(✕)が、bとcで先手(◯)が三目並べるリーチとなっています。
ゲームでは8手目となるので後手の手番。
ミラー戦略をとりつつ、防御する一手となると中央に近いbの一択となります。
このあと先手がcで3つ並べたとしても、後手はbで取り返すことができます。
結果1対1となり、延長。
カントール集合の5段階目も同じく、後手は中央に近い先手のリーチを防御してミラー戦略で引き分け。
その繰り返しとなります。

とはいえ、(ミラー戦略を崩して)後手が必勝となる手順がひょっとするとあるかもしれません(しかし、先手の数の優位性は大きいので、ないと推測します)。

締め

ということで、久しぶりのせまゲーでした。
ラジくまるさんはなかなか注目したい記事を連投しているので、フォローをおすすめします。

次回は何を書くかは未定です。

では。

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