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【雑木の庭づくり#07】車の中が「雑木の庭」
自家用車で運びます。
「フイリマサキを33本お願いします。」
———運搬費かかるけどどうする?
「えーと、自分で運びます。」
———ん?トラック持ってるの?
「いえ、自家用車で運びます。」
———そう。まあいけないことはないけど。笑
「できれば、そこそこの大きさのをお願いしまーす。」
———はーいよ。
というわけで、いつもお世話になっている植木屋さんにお願いをして、背丈ほどのフイリマサキを33本用意してもらいました。
どういう目的かというと、隣地の公衆用道路(現在は全く使用されていない夏に雑草ボーボーになるエリア)との境界線に何かがあった方が、自分の敷地がにのっぺりとしないのではないか、ということで、生垣をつくることにしました。
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樹種をいろいろと検討した結果、重たい印象にならないフイリマサキで生垣をつくることにしました。相変わらず、まずは掘削です。公衆用道路近くの土壌は瓦礫なども多いため、掘削をしながら土壌改良を施しました。
そして、お願いしていたフイリマサキが揃ったということで、片道約40kmほど車を走らせ植木を受け取りにいきました。到着するやいなや、大勢の従業員さんが待機しておりました。
「こんにちは。お願いします!」
———おー入るか〜?(笑)まあ、とりあえず積んじゃってみよう。
社長さんの一言で、従業員の皆さんがバケツリレー方式ならぬ、マサキリレー方式で車に積み込み作業を開始しました。最後の方は、とにかく押し込んで、押し込んで、押し込んで、の力技です。
運転席に座ってみると、その景色の荘厳なこと。車の中がまさに「雑木林」になっていました。これはこれで、新しいカタチの「雑木の庭」です。深呼吸をすれば、土の香りと樹木の香りがものすごくします。移動式の「雑木の庭」の完成です。
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まあでも、背丈ほどのフイリマサキが、よくも33本も車の中に入ったものです。さすがは、SUBARUフォレスター。たくましいかぎりです。途中、スーパーに寄って食材を買って帰りましたが、通りすがりの方が百発百中で車内をのぞきます。そりゃ、そうでしょう。車の中で一体何が起きているのか、大変不思議でしょうね。
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生垣をつくってみる。
さて翌日、さっそく植え込み作業です。まずは待機中のフイリマサキたちを横目に、植える順番や植え込みの間隔などを確認していきます。
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今回は40cm間隔で植え込むことにしました。1本ずつ丁寧に植え込みをしたせいか、想定以上の時間がかかりました。
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そして翌朝、親柱に対して胴縁をかけていきます。これが意外と難しいのです。近くでは地面に対して水平思える胴縁が、離れて見てみると曲がっていることも多く、近づいては遠くに離れて見てみて…の繰り返しの作業が続きました。水平器を使用すればよかったのかもしれませんが、そんな代物は我が家にはございません。
そのため、自らの目を頼りに、根気強く胴縁をかけていきます。その割には、そこそこ綺麗にかけられたかもしれません。また、シュロ縄の結び方も「男結び」を事前に勉強したのですが、これがどうにもうまくいきませんでした。そのため、これも独自の結び方で解けないように固定しました。そんなこんなで、ようやく完成しました。
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自然の風景に勝る人工はない。
こうして見てみると、まずまずの出来具合かなと思います。
ところで、今回は隣地との境界線に目隠し塀やブロックなどではなく、自然の樹木を利用した「生垣」を採用しました。ブロックや樹脂フェンスなどの人工物の方が整って見える、という方もいるかもしれません。しかし、今回はあえて自然の樹木による「生垣」を採用しました。なぜなら「住まい」というものを考えた時、それは長い年月を共にするものだと思います。「人工」と「自然」を比較した時に、長期にわたり接していて心安らぐものはどちらなのか———。私は「自然」であると思っています。ですから、住まいの中にできるだけ多くの「自然」を取り入れ、暮らしを豊かにしていきたいと思っています。
加えて、人は本能的に自然を求めるものだと思います。
樹木が茂るところには、水があり、食べ物がある。
そして、人が集まり、豊かな暮らしが生まれる。
200万年前、わたしたち人間の祖先は、水辺に集まり、そこで食べ物をとり、生活に石を利用し、家を建て暮らしたと想像されています。川や湖などの水辺に住むと、飲み水がすぐ手に入るだけでなく、そこへ水を飲みに集まってくる動物の狩りを行うこともできました。だから人は、緑に対して本能が働くのではないでしょうか。
現代においても、みんな公園に好んで出かけ、木の下に集まり話をしたり遊んだり……。マンションに住んでいても、わざわざ鉢植えの植物を買ってきて鑑賞したりもしています。
また、雑木を縫うように水が流れる青森県の奥入瀬渓流を思い浮かべてください。柔らかい木漏れ日が注ぐ沢の風景———。川音が幾重にも交差する中で、耳をすませば鳥の囀りや葉の擦れる音が無限に聞こえてきます。
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これを嫌いだと言う人はまずいないのではないでしょうか。雑木林のある里山の田園風景、木々が鬱蒼と生い茂る鎮守の森なども、同じく人をやさしく包み癒してくれます。一方で「自然」は時に人に牙を向くこともあります。しかし、そういった災いの中で、人は自分が見失っていた自然への畏敬の念を再認識するのです。そして再び自然と共に生きていくのです。その繰り返しにより、いのちが脈々と受け継がれてきました。
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自然の風景に勝る人工はない———。
そんなことを思う今日この頃です。
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