雑木ガーデンの樹木のひとつヒメシャラの特徴
雑木ガーデンの樹種のひとつヒメシャラ(姫沙羅)の木について写真を織り交ぜて紹介していきます。
雑木の中でも人気の樹種で、黄緑色の淡い葉色、梅雨の時期に咲く白い小花、真っすぐ伸びる幹、赤褐色の幹肌などが特徴です。
ヒメシャラは漢字では「姫沙羅」と書きます。沙羅の木は別名:ナツツバキと言います。姫沙羅の木は少しサイズが小さい同じ種類の木です。
沙羅の名前の由来はお釈迦様が入滅した場所に生えていたと伝わっている木なのです。 神奈川県以南(と言われている)の温暖な気候の地域で自生している落葉高木です。
特に根株は西日に弱い性質で、夏場は温度や水分に気を付けます。
ヒメシャラの木姿
ヒメシャラの葉
ヒメシャラの葉の特徴はその色です。特に芽出しの頃から初夏までは葉色が黄緑色のものが多く、普通の緑色の色に比べると少し薄い色なので庭が明るく軽快な印象になります。
この少し若葉色した葉色がこの木の魅力でがないでしょうか。葉色と幹の赤褐色のバランスも絶妙です。
また、秋口になると紅葉もすぐに葉や木が一斉に色の変化が出る訳ではなく、葉ごとにも紅葉の色の入り方も変わります。
例えば葉の外側部分からだったり先端部分だったりと一枚の葉の場所でも色の変化の様子が変わりますし、その紅葉の色も赤色や赤茶色と少しづつ色が違います。
そういうところを細かく観察するとこの雑木の味わい深さが増して行きます。また一本の木の枝葉の中でも日当りや寒暖の差のより、紅葉の箇所や速度や色目が変わります。
夏に近付いて来ました。
芽出しの頃の少し葉先に赤い色が入っていた葉色から黄緑色一色になった初夏のヒメシャラの葉です。赤褐色に幹色に黄緑色のコントラストが映えます。日光を浴びると透き通るような葉色の美しさです。
かたちは楕円形で葉の先が少し尖っています。葉の大きさも比較的小さめの葉でこの木では6~7㎝くらいですね。
自然樹形であまり剪定を必要としない樹種で、葉がたくさん付きすぎないので、雑木らしく幹や枝の形がよく見え自然樹形の幹や枝の姿を楽しめる木でもあります。
ヒメシャラの幹をアップで見たところです。
特徴的な赤味の入った赤褐色の幹肌で、さわってみるとツルっととした触感です。幼木の間はまだ赤い色はあまり見えず茶色や灰色系ですが、成木に近付いてくると赤褐色が発色してきます。
幹肌の表面は成長が進むと赤い色の薄い表皮がめくれて自然と新しい木肌が出てきます。薄い皮の部分は薄さとしては玉ねぎの薄皮のようにペラッと捲れます。
触感はまるで紙やすりで研いだようなサラサラした肌触りで、ザラザラ感はあまりありません。(部分的にはありますが)他の樹木で言いますとツルっとした肌触りで有名なサルスベリの肌触りのようです。
少し離れて見てみます。
幹の一部が部分的に剥がれている様子が見えると思います。 幹を擦ってみると薄い皮が剥がれていくのが分かります。冬季はあまり近づかないので、春の前に表皮の捲れが進んでいるように感じます。
この写真では天気の関係でヒメシャラの幹色の赤味が少し出ていないように見えますが。。 この木は、根株に近い方の枝が落ちたり、剪定したりしています。
そうするとヒメシャラらしい樹形が見えますので、少し枝を取ったりしています。育てる人の好みに合わせて樹形を整えたりすることもできます。
因みに後ろにある木がツリバナです。枝先が少しクネクネ曲がっています。
ヒメシャラの花
ヒメシャラの花が太陽の日の下で美しく咲いています。梅雨の晴れ間で暑そうな一日のワンシーンですね!葉っぱを光が通り抜けています。
小さな一枝に5花くらいの白いツバキの形に似た小花が咲きます。どの花も下を向いていますね!この木の特徴がよく出ています。
花のアップです。5枚の花弁でおしべは遠目には黄色に見えますが、近付くと雄しべの先っちょは茶色ですね。
葉の葉脈も光が差しているので、よく見えますね。ヒシャラの花は梅雨時に咲くのでしっとりした印象ですが、青空の下に見上げるのも葉色も美しくまとまりがいいですね。
少し横の角度から見てみました。
花の部分のピントが少しボケててすみません。花は枝先に付いているのが分かりますね。
エゴノキやアオダモのように雑木の様に木姿全体に花が見え覆い被さるような花の咲き方ではなく、写真のように葉陰に隠れているのでそれ程目立ちませんが、成木になると結構な数の花が咲きます。
梅雨も終わる頃ヒメシャラの木の廻りを見てみると落花しているヒメシャラの花がよく見付けられます。
季節のヒメシャラ
3月下旬の春目前のヒメシャラの芽吹き前です。うっすら緑色をしていてろうそくの火の様な形になっています。芽吹いた後の葉っぱの様子が伺い知れます。
芽吹いて来ました。先の方から2枚に分かれて開いて来ています。4月上旬です。
他の雑木では芽吹きと開花が同時のものもあります。ヒメシャラは梅雨の時期に花を付けるのでは、芽吹きの時点では蕾などは見えないですね。
秋の紅葉が始まる少し前の木姿です。
黄色とオレンジ色が混ざった色彩になってきています。
姫沙羅の木は年によって色づき場所や色自体など変化するところがとても味わい深く面白いですね。下の紅葉の季節のヒメシャラでも様子を紹介しています。
紅葉の季節のヒメシャラの移り変わりや様子は、別の記事で紹介致します。
■ヒメシャラの育て方
・落葉高木 ・高さ:約10~15m(成長が遅く、家庭ではあまり大きくならないことが多いです)
・植付け場所:半日陰で育てます。西日を受けると、株元が乾きやすくなるので、マルチングをすると乾燥を防げます。水が行き渡らない枝は枯れやすくなるので水はたっぷりと与えてください。水はけの良い場所を好みます。粘土質等の用土の場合は、根株のひと回り大きい穴を掘り、水はけの良い用土に入れ替えて植え付けます。腐葉土等を一緒にすき込みます。
・地面は水はけが良い土壌を好み、水分を含んだ湿った状態を好みます。雨水だけではなく、特に夏場には水はたっぷり与えて育てます。(特に暑くなる5月~秋口)水分が少ない状況などにより、枝枯れしますので、枯れた枝は折り取っていきましょう。
・肥料:冬場の2月頃に寒肥や腐葉土を与えると良いでしょう。木の枝先の半径あたりの直下に、土に掘って寒肥や腐葉土を埋め込みましょう。円形に埋め込む、いくつかのポイントで埋め込むなどの方法があります。
・剪定:自然樹形で美しくまっすぐ伸び、赤褐色の木肌が美しい樹種なので、あまり剪定せずに自然樹形を楽しむのに適しています。
・ 特徴:木肌の赤褐色が美しく、成長すると木肌は薄く剥がれていきますが、表面はつるっとした肌触りです。基本的には、まっすぐ空に向かっていく樹形ですので、シンボルツリーなどに向いています。梅雨ごろに下を向いた小さな白い花を付けます。秋にはオレンジ色に美しく紅葉しますが、葉ごとにまばらに紅葉し、落葉していくような感じです。