見出し画像

靴木型「風神・雷神」の製作工程

今回「News From Nowhere」の会場で展示させていただいたこの作品。

製作工程をご紹介してみようと思います。

雷神に使用した全7種類の突板

左から
黒檀・マドローナバール青染色・ポプラバール・ウォールナットバール・
カーリーメイプル・マホガニー・バーズアイメープル ピンク染色

風神に使用した全7種類

左から
黒檀・ボリバー緑染色・ポプラバール・ウォールナットバール・
カーリーメイプル・マホガニー・コト水色染色

いつものように4.0の刃の糸鋸でカット
垂直がしっかり出ていないと上と下でデザインが変わってしまうので緊張します
7枚重ねて一度に切り抜きます
まずは全てのパーツをデザインに合わせてカット
今回はこの色の組み合わせを採用
熱した砂による焦がしでグラデーション表現
焦がしを入れるとぐっと奥行き感が出ます
今回はコンセプトに合わせて60年代の子供用靴木型がベース
子供靴にプラスチックではなく木が使われているのはとても珍しい
嵌め込むためのパーツのみ切り抜き
裏はマスキングテープで仮固定
約0.7mm突板の厚み分デザインに合わせて彫り下げ
彫り込みのベースが完成
膠で接着をしてヤスリやナイフで表面を慣らします
シェラックニスで金箔貼り前の下地作り
メープルはベースの木と色が近く目立ちませんが今回はその部分に金箔を貼ります
いつもとは違う下地で23k金箔貼り
その上からさらにシェラックによるフレンチポリッシュ、
仕上げに蜜蝋で磨き込んで完成!!
会場では暗闇の中、特殊なスポットライトによって幻想的な見え方に

暗かったこともありペインティングだと思われる方も多かったのですが
その分、木象嵌による装飾であることを伝えると驚かれる方がたくさんいました!

さすがミラノの家具見本市期間中のイベントだと思ったのはこれを見て「Maggiolini」という言葉がすぐに出てくる方が結構いた事。
「Maggiolini/マッジョリーニ」はミラノ出身の1700年台に活躍したキャビネットメーカー。
アンティークの木象嵌装飾の家具としては世界でも最高峰でオークションでも数千万円の値がついて取引されています。

自分の技術を見て「これはMaggioliniクオリティだね」と言ってもらえたことは本当に誇りに思います。

わかりづらい技術ではありますが今でも伝統技術としてしっかり根付いている木象嵌。
もっともっと見ていただく機会を増やしていきたいものです。

-Fin-
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?