僕の海岸物語 ~ただひとりから~
トンネルを抜け、道なりにカーブを過ぎると水平線が飛び込んでくる。わだかまりに埋もれた自分から、心を開いて本当の自分を取り戻せるように思えるこの瞬間。目の前に広がる景色はそれに重なり、毎日の現実からしばらくの間だけ離れることができる。そして緩やかな坂道を海沿いに下ると、朝日を受けた白波が眩しく目を細めてしまう。
「おはよう、マサオ」
珍しくノリが朝から来ている。週末の晩はたいがい飲み歩き朝はゆっくりと起きてきてみんなが海から上がった頃にやって来るノリが、もう来ている。
「さす