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公立高校の特色化選抜入試について危惧していること

公立の高校も、高校独自の特色を出して中学生から選んでもらえる学校づくりに取り組んでいる。その一環が「特色化選抜入試」である。

「特色化選抜入試」とは、高校の経営方針に合う生徒像(「強化したい部活動」や「英語教育に特化」など)を明確に打ち出し選抜を行う入試形態の一つで、他には推薦入試、一般入試がよく知られている。ここだけ聞くととても良い取り組みで、高校側も今後を見据えて方針を打ち出しやすく戦略的に学校経営ができるように思う。しかし、実情は少し異なる。

ほとんどの特色化選抜入試はいわゆる学校の評定で足切りがあり、その評定を満たしていなければ受験資格が得られないものになっている。例えば、「3年次の評定合計が35以上であること」や「五教科(国語・数学・社会・理科・英語)の評定合計が20以上であること」、「数学と技術家庭の評定がともに4以上であること」などである。

評定については、中学校の先生たちの基準で判断されるため、中学校間の格差がどうしても出てしまう構造になっている。一般入試の合否については「評定」と「当日の試験」の2つを総合的に判断して判定されていたため、評定が1低くても大きな差ではなかった。しかし、特色化選抜では評定が1低いことが受験資格を得られないということに繋がってしまうため、評定の評価基準が学校間で差があることは問題であるように感じる。

もし生徒・保護者の視点に立って評定を見たとき、その評定であると判断した根拠を知りたくなるものではないだろうか。もちろん、中学校の先生は評定に対しての説明責任があるため、求められれば応じなくてはならない。ただ、その説明の仕方によっては保護者は納得しないだろう。

これは一教員が評価基準を明確に管理できていないという個人の問題として捉えることもできるが、教員を守るという視点に立ったときには組織の問題として捉えた方が良い。遅かれ早かれ、似たような問題は必ず起きると思うので、早急に対応策を講じなければ、教員の成り手不足に益々の拍車がかかると感じている。

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