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サッカーで求められる意思決定とは?
ビトール・フラーデ氏は「サッカーとはカオスとフラクタルの対立である」と述べています。
林舞輝氏はこれについて以下のように説明しています。
ここでいうカオスとは、理論的には、ある初期状態が分かれば自ずとその後のすべての状態の変化が決定され予測できるはずなのに、現実の力学の世界では、様々な要素が複雑に絡み合っているためにほんの少しの条件の違いによって最後の結果が大きく変わってしまうことから正しく予測することは不可能であるというものだ。(中略)では、サッカーはフラクタルである、とはどういうことなのか?これはつまり、1対1は3対3の構成要素であり、3対3は8対8の構成要素であり、8対8は11対11の構成要素であり、それぞれが等しく「サッカー」であるということだ。同じように、敵、味方、ボール、ゴール、スペース、時間があり、ドリブルとパスとシュートがあり、攻撃と守備とトランジションがある。カオスもフラクタルも数学的に言えば、「複雑系」という分野に密接に関連するのだが、フラーデはこの複雑系こそサッカーの本質だと捉えた。つまり、サッカーとは多くの要素からなり、全体が部分に影響し、部分が全体に影響し、それらが複雑に絡み合う系ということだ。
前回の記事に加え、以上のことから、サッカーというゲームにおいて意思決定が非常に重要であると考えられます。
「どのようにプレーするか」は「どのようにゲームを解釈するか」、つまり「どのように学んだか」で決まります。
サッカーから技術を学ぶ人もいれば、戦術を学ぶ人もいます。組織や個人としての振る舞い、そして他者との協力を学ぶ人もいます。
それぞれが好きな様にサッカーという複雑系から学習するのです。
そのため、坪井健太郎氏はサッカーの指導者の役割を「無秩序なスポーツの中に秩序を導入すること」と述べています。
つまり、ゲーム中に起こる様々な状況をどう解決するかという戦術的な行為を理解し落とし込まなければなりません。
一般にトップチームと育成年代では、戦術というものの目的が異なると考えられています。
試合に勝つことが求められるトップチームでは、1シーズンを通して勝ち点を取るために指導者の哲学主導の色が強い傾向があるように思えます。
一方で、育成年代では勝つことに加えて選手が成長することを求められるため、多様な環境下で選手が個性を発揮できるような選手の将来像主導の色が強まると言われています。
目的が異なれば手段は変わるように、常に最適化が欠かせません。
トレーニングの目的は決断する勇気と責任を恐れない選手を育成することと言えます。
つまり、チームの決まり事をしっかりと理解し、似たような状況に対して即座に判断することができる選手へと成長させることが求められるのです。