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がん終末期の母を自宅で看取った理由
「がん終末期の家族を自宅で看取りたい」と思っている方はいませんか?
母親の病状が悪化した頃、新型コロナは5類でした。
入院患者との面会が徐々に緩和された時期でしたが、1日15分間程度の面会時間の制約と、まだ面会ができない状況の病院。
入院すれば大切な母親が、がん終末期の孤独と不安を、病室でひとり抱えることになります。
がん終末期の母を自宅で看取った理由
「自宅で過ごすのが好きな母を、病院で死なせたくなかった」
「面会制限で会えなくなるのがいやだった」
シンプルですが、それが理由です。
私は、看護師をしています。
白い壁に囲まれた病室の味気なさ、必要なこと以外できない生活。
とくに高齢者は転倒やベッドから転落の危険もあり、危険なことを1回でも起こせば抑制されてしまう…。
人生最期の時間をもっと暖かい場所で過ごしてもらいたい。
住み慣れた自宅で、好きな時に好きなことをして過ごしてもらいたい。そんな気持ちでした。
思ったより、大変だったがん終末期の自宅介護
私はふたり姉妹ですが姉は遠方に嫁いでおり、私は母の家から車で10分程度の場所に結婚して暮らしていました。
介護は、実家に泊まり込んで、ほぼワンオペ。
当然夫とは、介護のための別居生活でした。
母は90歳を過ぎていたため、病状の進行とともに認知力も低下し、足腰も弱くなり。
そんな母親を、24時間通して見続けることは、徐々に私のメンタルと体力を削っていきました。
メンタルと体力を削られても、母親の最期を看取りたいという気持ちは、ブレませんでした。
おそらく、父親を自宅で看取れなかった後悔が、わたしを突き動かしていたのだと思います。
自宅での看取りを決めて準備したこと
介護者はとても大変です。
少しでも介護者が楽になるような環境を整えることが大切になります。
「使えるサービスはすべて使う」
これにつきます。
フルに使えるサービスを使い倒しても、介護はとても疲れます。
ケアマネと相談して、まず5つの準備をしました。
訪問介護の時間を増やす
訪問看護を依頼
訪問診療を依頼
介護ベッドをレンタル
知り合いからポータブルトイレを借りる
訪問介護を増やしたことで、少しだけ自分の自由時間ができました。
自分も看護師ですが訪問看護が来てくれることは、とても安心です。
排泄のことは、悩むことが多くありました。
人間って自分の足で歩いて、自分のタイミングでトイレに行きたいって思うもんなんです。
母親も自分の足で歩いてトイレに行くと、言ってポータブルトイレを拒否。
排泄時は私が毎回、手引き歩行でトイレに連れて行っていました。
ひとりでトイレに行って、転倒で骨折されることが、心配だったのです。
夜だけは、母親に頼み込んでポータブルトイレを使ってもらいました。
介護者は自分の自由時間がなくなる
介護する人が辛いのは、自分の自由時間がなくなることです。
私の場合、訪問介護の方が来ている時間を増やしたことで、わずかな自由時間ができました。
食材の買い出しに行ったり自宅へ必要なものを取りに行ったりしていました。
もし今、介護をしていて辛いとか大変だと思っている方は、ケアマネさんと相談して、使えるサービスはすべて使ってくださいね。
病院や施設に入れることに罪悪感を感じなくていい
あと、施設に預けるのも病院に入院させるのも、決して悪いことではありません。
自分がダメになりそうだったら、罪悪感を感じず、自分の心と体を守る選択をしたほうが絶対に良いです。
私も、もしあと1ヶ月介護生活が続いていたら、母親を入院させていたかもしれません。