いい仕事とは、成果が出なくても必ず自身の成長につながる
以前、「イシューからはじめよ(安宅和人著)」を読んでいた際に、確かこんなことが書いてありました。
「生物学の研究において、実験が成功しないと意味のあることを発見できないようなテーマ設定が多い。良い研究とは、実験が成功しても失敗しても意味のある発見がある。」
(詳細のニュアンスは少し異なるかもしれませんが、大枠としてはこう言ったことが書いてあったと記憶しています。)
これは、仕事においても同じだと感じています。いい仕事とは、求められる成果(営業目標数値など)が出なくても、必ず自分の成長につながるものだと思います。また、取り組んでいる本人も、「成果が出なかった=取り組んだ意味がなかった」という感情になることなく、「成果が出ても出なくても、非常に重要な学びを得ることができたし、取り組む中で成長することができ、後悔がない」という感情になるものだと感じます。
そのためには、その仕事だけではなく、他の仕事にも適用できるポータブルスキルを意識的に鍛えながら取り組むことが重要だと考えています。
私はコンサルティング業務を普段行うことが多いですが、特に若手コンサルタント(アナリスト〜コンサルタント程度)にとって、上記のような「ポータブルスキル」として主に以下の領域があると考えます。
- 仕事の段取り・業務設計
- 顧客志向(=お客さんが何に価値を感じるのか、という視点)
- 論点・仮説思考
領域における専門性ももちろん大事なのですが、安易に専門的な知識を身につけるのではなく、コンサルタントや、そのほかの職種、業界などでも使えるような上記のようなテーマを意識的に鍛えることが重要です。
「コンサル一年目が学ぶこと」という本はそういったどんな職種や業界でも普遍的に重要なスキルや視点にフォーカスして書かれた本ですので、参考までにご紹介しておきます。
では、そうしたどんな職種や業界でも普遍的に重要なスキルを伸ばすためにはどうすれば良いのでしょうか。
それは、複数の領域の職種に同時に取り組むこと(すなわちマルチタスク)です。
なぜ複数の領域の仕事に同時に取り組むことが重要なのか
多くの企業では、新卒社員などは、特定の部署に配属され、その中で特定の領域のスキルをまず鍛えさせられます。コンサルティングファームも同様で、まずはシングルアサインすなわち一つの案件に取り組みます。
しかし、ポータブルスキルを鍛えるためには、同時に複数の領域に同時に取り組むことが重要です。(例えば、コンサルティングとCSや、営業とコーポレート・・など複数の職種を同時にこなしたり、IT系のコンサル案件と、BPR系のコンサル案件など専門性が異なる案件を同時に推進したりなど)
なぜなら、同時に異なる仕事をこなそうとするとゆっくりその職種の専門性を身につけることができないため、領域問わず必要な基本的なスキルを向上させざるを得ないからです。
例えば、戦略系のコンサルティング案件を推進しながら、プロダクトの営業を行う・・などの場合、それぞれの職種に固有のスキルを伸ばすのではなく、どちらの職種にも共通する「期待値調整(お客さんの期待を把握し、自分たちが提供できるものとすり合わせを行う)」や「提案力(お客さんのニーズを先読みして、ニーズに応えられる施策を提案する)」など、基本スキルを伸ばさざるを得ないのです。
コンサルタント固有のスキルとしては例えば、PPTでの資料作成力やエクセルスキル・・など、これらも重要ですが、付加価値があまり高くないスキルになりがちです。コンサルタントのみに取り組んでいると、そういったスキルの習得に時間をかけてしまいます。
ですので、自分が職種・業界に普遍のスキルを強制的に向上させるために、複数の領域の職種に同時に取り組むのです。
しかしながらこうしたことをやれる会社は少ないでしょう。また、非常に大変なため、中途半端なスキルしか得られないまま挫折してしまう可能性もあります。
ですので、自分自身が将来的に何か実現したいことや、自分のありたい姿がある程度明確に見えており、大変な状況下でも、自分自身に大きな土台を造りたいと思えるような人には、上記のようなことをお勧めします。
是非ご自身のキャリア形成に参考にしてみてください。