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読書完走#303『民主主義を信じる』宇野重規 2021
静謐だけれども熱いレジスタンス。この本を読み終えた時の第一印象だ。
日本学術会議の任命拒否に際し、当事者としてコメントした宇野さんの言葉「私は日本の民主主義の可能性を信じることを、自らの学問的信条としています。その信条はいささかも揺らぎません」は、本書を読めばたちどころに腑に落ちる。
2016年からの5年間は、民主主義が危機的状況にある瀬戸際だった。宇野さんの言葉をひとつずつ拾うだけでもそれは明らかだ。時の権力者が愚劣な任命拒否に及んだのは、"不都合な真実”を暴き出す図星な言説を正確に理解してのことなのだろう。
日本の民主主義は「賢明な現状維持」を選んだというより、嵐のただ中で「奇妙な判断停止」に陥ったと言うべきであろう。2016「憂慮」
森友・加計問題がいつまでたっても腐敗臭のように漂い続けていることが、何とも言えない不快感の原因となっている。2017「始動」
現行憲法を「保守」することが本来の保守であるとする「保守本流」の弱体化が、現在の自民党の最大の問題点であることは間違いない。2018「予兆」
少数派の異議申し立ての機会と、その納得を得るための丁寧な説得の過程こそが民主主義の最後の砦であることだけは間違いない。その一線が脅かされるとき、民主主義の形骸化がとめどなく進むであろう。2019「深化」
悲観的な言葉ばかりでは身も蓋もないので、宇野さんの前向きで希望に満ちた言葉で締めくくりたい。
人を差別し、切り捨てるのも言葉であるが、同時に不信に満ちた人たちの間に関係を結び直し、ともに議論していく勇気を与えてくれるのも言葉である。あらためて言葉を大切に用い、民主主義の可能性を信じていきたい。2020「異変」