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城山文庫の書棚から016『東京脱出論』藻谷浩介×寺本英仁 2020 ブックマン社

“里山資本主義”の藻谷さんと島根県邑南町の寺本さんが2年前、コロナ禍始まりの頃に行った対談録。

中山間地域にある邑南町は人口1万人、高齢化率45%の過疎の町。その町の公務員である寺本さんは役場きってのアイデアマンで「A級グルメ構想」の仕掛け人であり、年に3回、藻谷さんを招いて「藻谷塾」を開いている。彼らの地道な取組みが実り、この少子化の時代に、邑南町では30代夫婦のU・Iターンと乳幼児が増えているという。

東京で特産品を売ろうとして失敗した経験から学び、一流シェフを招いて開業した町立レストランAJIKURAはミシュランと双璧をなすフランスのガイド本ゴエミヨで見事2つ星を獲得した。

田舎の老人のほうが、日々貯金がなくなるのに怯える都会の老人よりも、よほど豊かに楽に暮らしている。このことにいつ都会人は気づくのか。近未来に都市部を襲う大地震の前に行動を起こせるかと藻谷さんが警鐘を鳴らす。

田舎を「過疎」だというのは過密の東京からの偏見で、田舎こそ「適疎」なのだ。これは藻谷さんの名言だ。

東京に住まないと絶対に手に入らないものは?

自分にとっては、徒歩圏内に5つの駅とそれぞれ個性的な街があることくらいか。50代が最後のチャンスだという東京脱出、一度考えてみようかと思い始めている。