秋の参観日
朝日とともに窓から入る風が、一瞬するどく腕をなでる。家々の隙間に見える山の一部が秋めいていて、クローゼットから深い赤色のニットを出す。
行ってきます、と手を振った娘のはねるポニーテールと、「交通安全」の黄色いカバー。もう半年で進級だなんて、娘が産まれてめまぐるしく過ぎる日々は、ただひたすらに駆け抜けてゆく。
教室の後ろから、まっすぐに黒板を見る瞳を、ぴんとのばした腕を見る。たった数年前の、はじめて保育園に行った日、じわりと涙が溢れたことをなぜだか思い出した。
授業がおわり、秋風にゆれる教室のカーテンを背に2人のお友達と小さく笑い合ったあと、恥ずかしそうに私と目を合わせたあなたが、どうか健やかに、たくさんの波を越えて行けますように。親になって、願うばかりの日々です。
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