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エッセイ

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楽しいもの、大事なものを見つけて言葉にするのが好きなんです。 「分かる!」も「へー」も嬉しいです。「へー・・・」も、是非。
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#古本屋

残され残る古本屋 

約一年前に記事に書いた、沢山の本で見通しの悪い小さな古本屋の前を通った。厳密には、店の前を通りたかった。 かれこれ二年近く足が遠のいていたところ、先日になって古本屋がある通りを歩いて向かう用事ができたので、丁度気候がよく午後の散歩にはぴったりだったのだ。 こじんまりとした白いビルの一階が見えて、私は建物よりも窪んだところにある扉やガラス窓を覗き込んだ。そうそう、と。 目に入ったのは以前よりも清潔そうな印象の店内と、素早く動く黒い服を来た何人かの人。見覚えのある建物と間取りに

潜み潜める古本屋

その古本屋は、全国各地の古本屋と違わず本棚や本の山によって狭く、すぐ近くの人の気配を消してしまう。日に焼けた本に見入るようならば、互いに相手の存在に気が付かないまま時間を過ごすなんてこともあるだろう。 ある日、私は店の角にある、三方を本棚に囲まれた位置に立っていた。その辺りにどんな本が並んでいたのかは覚えていないのだが、妙に装丁が美しい本が多かった気がした。そのせいで、私はしばらくの間そこから動くことができなかったのだ。一歩移動するだけでも何冊もの本を手に取ることができる。

銀河を想う

「日本の古本屋」というサイトで、私は一冊の本を買った。 古い本で、大きな本屋さんに行っても置いていなかったから。 新品をネットで買うと、900円。 昔の定価が500円。 古本屋のサイトでは、400円。 この本を置いてある何軒かの古本屋から、私は銀河書房を見つけた。 何と分かりやすい。 「書籍の購入について」の欄にある説明は、シンプルで便利で、親切。 一番気持ちよく本を手に入れられそうだと思った。 本を注文した後、いくつかメールが届いた。 文章はどれも丁寧であたたかい。