【学級目標】
4月12日に学級目標が決定。
学級目標は、私が学級を経営する上で最も大切にしていることです。3月24日の修了式の日に自分たちはどうありたいのか。そんな目的地であるからです。
その目的地がバラバラであると、それぞれの伸びていく方向にばらつきが出ます。調和すればもっともっと相乗的に伸びてくはずなのに、目的地が定まっていないために、途中で絡まったり、ぶつかって壊れたりしてしまってはあまりにもったいない。
だからこそ、目的地を明確にします。
手段や方法はそれぞれで構わない。ペースもそれぞれで構わない。けれど、最終的にここにたどり着こうねという目的地。それが学級目標です。
学級目標を決めるときに大切にしていることは、「全員の思い」「全員の願い」が必ず含まれているということです。
キーワードを集め、多数決をして、挙手が多かった言葉を並べて学級目標にするということはしません。多数決では、少数であった意見が切り捨てられてしまうからです。少数の意見が切り捨てられる空間では、自分らしさを表現することは難しく、安心感にも欠けるでしょう。また、簡単に小さな声を切り捨てる学級文化が根付いてしまっては、これからも安易に仲間の声を切り捨てることも考えられます。
また、自分の思いや願いが入っていない目標に納得も出来ませんし、目指し続けるエネルギーも湧きません。
学級全員が目指す目的地は、学級全員の納得が欠かせないと思うのです。
全員が納得しているからこそ、ことあるごとに目標に立ち返り、自分自身の在り方を見直すことができます。全員が納得しているからこそ、目的地からそれてしまいそうな自分を受け入れ、整えることができます。
だから、全員の納得が必要なのです。
以下のような手順で合意形成を図っていきました。
まずは、とにかく全員から「こんなクラスでありたい。」という思いや願いを集めました。
意見が、出てくること、出てくること。
これほど意見が出てくる学級も珍しい。それくらい、自分たちの学校生活の当事者は、自分たちであると思っているということでしょう。
自分事として考えているから、たくさんの意見が出るのだと思います。
また、自分たちの手でより良くできる、より良くしていきたいという自信や熱い思いをもっているということでしょう。
「どんなクラスでありたいですか?近くの人と相談してごらん。」と伝えると、自分の思いを口々に表現します。話していない仲間を気にかけて「どう思う?」と、問いかける。この学級らし温かさも見られ、とても感動しました。
出て来た意見はこちらです。
・進んで行動する
・学校の誰からも信頼される
・先生がいなくても大丈夫
・自分たちでなんでも
・地域や学校から愛される
・次を考える
・リアクションがすばらしい
・かっこよく
・幸せな
・ふさわしい
・学級を超える
・仲良い
・時間を見る
・折り合いをつけられる
・一人一人が輝く
・個性豊か
・優しい
・お手本
・教え合える
・平等な
・お礼を言える
・仕事ができる
・協力できる
・アイディアが生まれる
・聴き方が上手な
理想とする自分たちの姿をここまでイメージとしてもてていることが本当にすばらしい。
この具体には、全員の思いと願いが詰まっています。
これらを色分けをして、グルーピングし、少しずつ抽象的な言葉にしていきます。
すると、4つのグループにまとまってきました。
この時の話し合いも、「〇〇と〇〇は同じだね!」「それは〇〇グループ!」というように、もすごくテンポがよかった。やっぱりそれだけ、行動レベルとして思い描けているのです。だからすぐに共通項を見出し、分けることができるのです。
その4つのグループは、
①自分自身を見捨てない
②相手のことを見捨てない
③25人らしく
④学級だけの活躍ではなく、地域や学校に向けて
これら4つが「達成できた。」という状態はつまりどんな状態なのか。
この4つってつまりどういうことなのか。
4つ全ての意味を含む言葉とは。
クラスみんなで考えました。
少し行き詰まっている様子だったので、「そもそもどうして4年生になって新しく目標を決めるのか。」と問いました。すると、「3年生の頃より、さらにレベルアップしたいから。」という声が。
ちなみに3年生時での学級目標は「1人も見捨てず幸せなクラス」です。
つまり、この目標を目指し、走り続けてきたこの子たち「らしさ」とは、「1人も見捨てずお互いの幸せを願い続けるところ」なのです。
それに気が付くと、1つの言葉が浮かび上がってきました。
それは、「かっこよく」です。
「かっこいい」とは、「ふさわしい」「その人らしい」という意味合いがあります。それを子どもたちは知っています。
「かっこよく(あなたたちらしく)=「1人も見捨てず幸せを願う(3年生での積み重ね)」となるわけです。
この子たちにとってかっこよくありましょうというのは、自分も相手も見捨てずに幸せに過ごすことなのです。
つまり「かっこよく」の中には、①自分自身を見捨てない②相手のことを見捨てない③25人らしくの3つが含まれます。
残す思いは④学級だけの活躍ではなく、学校や地域に向けて
これをどのように目標として表現するのか、子どもたちは頭を悩ませていましたが、対話をする中でシンプルなことに気がつきました。
それは、学級だけでの活躍はもう十分すばらしい。でもそれで終わりではなく、さらにレベルアップしたいのだ。さらにその先へ行きたいのだということ。
「その先をめざしたい。」という思いだったわけです。
このように、全員の思いや願いを出し合い、対話を繰り返しながら、合意形成を図りました。
そして、学級目標は「かっこよく、その先をめざすクラス」と決定。
全員の思いと願いが詰まった目的地です。
この対話を繰り返す時間があったからこそ、それぞれの思いや願いが詰まった学級目標となりました。
学級目標を決める際に、もう一つ私が大切にしていることがあります。
それは、全員が何も見なくても、すぐに目標を言えることです。
「このクラスの目標は?」と言ったときに、「かっこよく、そのさきをめざすクラス」と即答できることです。
つまり、それくらいシンプルなものであるということです。
子どもたちはもうすでに、この学級目標を即答できます。
ちなみに3年生のときの目標も今でも即答できます。
目標はお飾りでも、作るものでもなく、「達成するため」のものです。
これからのこれから子どもたちと過ごす1年間。
「かっこよく、その先をめざしているか。」を軸として、子どもたちが伸びゆく環境を整え、温かく見守り、目的地まで伴走していきます。目的地へ近づいていることを喜びながら、ときに交通整備をしながら。