( 思索の旅⑤ ) イノベーションとは、何か
イノベーションとは、何か
前回ふれた「新結合」という言葉に立ち戻ってみる。新結合という言葉から、イノベーションを次のように私は考える。
「二つ以上の異質な何かが出会って、核のような何かが在ることに気づき、新たな価値を発見し、新しい世界を創造すること。」
“何も無い” のではなく、二つ以上の異質の何かが “既に在る”。この「新結合」の考えであれば、私が違和感をもった “無” についても解決できる。イノベーションのプロセスを簡単にまとめてみる。
(一般的なイノベーションのプロセス)
発想 ⇒ 創造
(私が考えるイノベーションのプロセス)
出会い ⇒ 気づき ⇒ 発見 ⇒ 発想 ⇒ 創造
セルフマネジメントからイノベーションをみる
今までは、一般的なイノベーションの考えから、イノベーションとは何かを考えた。ここからは、イノベーションとは違う切り口の “セルフマネジメント” から、“イノベーションとは何か” を探っていく。
< キーワード >
( 何が大切か )
目を、注意を向けること
( 何に目を向けるのか )
外側のみえやすい世界ではなく、内側のみえにくい世界
“ない” と思っている中に “在る” もの
近年、マインドフルネスという言葉をよく耳にする。実際体験された人もいるだろう。私は言葉も知らなかった2014年に、マインドフルネスの話を聴き少し体験した。それ以降も何回か体験している。
私なりのマインドフルネスのキーワードは、「awareness:気づく」、「accept:受け容れる」、「release:解き放す」の三つ。2018年3月に参加したセルフマネジメントの体験会では、いろいろな気づきがあった。マインドフルネスとも同じ気づきもあるが、他に参考になったいくつかを紹介する。
● 自分しか変えることはできない、相手を変えることはできない
● 固定概念から自由になる
● 固定概念の外にある無意識に目を向けることで、気づき・発見が生まれる
● プロセスは、「 意図 ⇒ 注意 ⇒ 気づき ⇒ 選択 ⇒ 行動 ⇒ 結果 」
私が考えるイノベーションと、セルフマネジメントの考え方は非常に近いことに気づいた。トランスフォーム(変容する)という考えが、私が考えるイノベーションのプロセスの前半の「 出会い ⇒ 気づき ⇒ 発見 」にあたる。
体験会の講師のハンターは、「変容してから創造へ」ということを話していた。この創造が私の考えるプロセスの後半の「 発想 ⇒ 創造 」にあたる。これらの新しい気づきから、次の発見があった。
● イノベーションは一つのフローではなく、二つのフローからなる
● 二つのフローを分けて考えていたから、ジレンマがあった
● 二つをつなげる(結合)ことで、イノベーションの全体がみえた
改めてイノベーションとは何か
トランスフォームの視点を加えて、イノベーションのプロセス「① 無 → ② 在 → ③ 有」で大切なことは次の通り。
① 固定概念の外にある無意識など、みえていないものに注意を向ける
② “ない” のではなく、何かが “在る” ことに気づく
③ 新たな価値や可能性などを発見する
私が考えるイノベーションのプロセスは少しだけ変わった。前のプロセスには、「注意を向ける」ことは当たり前すぎで顕していなかったが、重要であり加える。
注意 ⇒ 出会い ⇒ 気づき ⇒ 発見 ⇒ 発想 ⇒ 創造
このようにプロセスからみると、「創る」というよりも「創り直す」に近いのかもしれない。何かを新たに創るのではなく、元々在った何かを創り直す。
この文章を最初に書いている時には、「創り直す」という言葉の意味は深く考えていなかった。しかし、この後に続く文章を考えていく中で、この言葉がもつ意味が大きくなった。