26-時間に追われる毎日、あっという間の1年目
【前回のお話】
(860字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
バイトが見つかった。
一旦は研究生としてだが、無事大学院で勉強出来るようになった。
「上手くやっていけるのだろうか」「大丈夫なんだろうか」と考える暇も無く、次の日から、常に時間に追われる日々が始まった。
バイトがある日の起床時間は、朝5時だった。
ささっと朝食をかきこんだら大急ぎで支度し、寝ぼけ眼でそのままバイト先へと向かい、不足している睡眠時間を送迎バスの中で満たした。
勤務時間は、8時間。
お昼休憩の1時間をはさみ、朝9時から夜6時迄の終日立ちっぱなし作業だ。
基本は作業台に流れてくる商品に不良が無いかを検品するだけだが、時には倉庫内を歩き回って商品をピックアップし、重い荷物だって運ばなければならなかった。
完全な肉体労働なのである。
当然、上がり時間になるともうクタクタ。
帰りの送迎バスではまたしてもぐっすりだった。
勤務時間の都合上、大学院の講義がある日はシフトを入れられないので自由時間もそれなりに増えるのだが、それでもゆっくり出来なかった。
S教授の日本語ミニテストが待っているからである。
限りある時間はほぼ全て試験勉強にあてた。
傍ら、週に1度は小論文も出さなければならなかったので、とにかく文献を読み漁り、拙い文章だとしてもひたすら夢中になって書いた。
週末には荒んだ我が家の掃除を進めた。
埃被った床を磨き、ガラクタが乱雑に収納された棚や押し入れを片っ端から綺麗に片付けた。
加えて、不足している日用品や食料品も買い足し、生活環境を整えた。
1分1秒が、隙間無く完全に埋め尽くされていった。
雑念を働かせる余裕なんて無かった。
ヘトヘトで常に疲れ切っていたが、これがかえって良かったのではと今になって思う。
心配性な私だ。
少しでも暇があったら、きっとあれこれ悩んでは、寂しさと虚しさで押し潰されていたに違いない。
余計なことを考える機会が無い程のハードスケジュールこそが、当時の私にとって必要なモノだったのだ。
そうこうしていくうちに、気が付けば、あっという間に1年が過ぎようとしていた。
いよいよ大学院の入学試験日が近づいてきたのだーー
(つづく)
📚ひたむきに頑張っている時は、ごちゃごちゃ考えたりしない
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