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#91 「躺平(寝そべり)」現象に関する二、三のぼやき

(1383字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
 
 中国のZ世代について少し語ってみようと思う。
 
 
 この世代の特徴の一つとして、とにかく「欲が無い」、「特に目指したい目標も夢も無い」がある。
 
 いくら足掻いてもどうせ現実は変わらない、努力しても報われることなんてないと信じていて、
 いっそのこと何も考えずに、ただ寝そべって毎日を過ごそうという思想から、このように生きる人達のことを
 「躺平族(寝そべり族)」と呼ぶようになった。
 
 そして向上心無く、現状に満足し流されるままに生きることを「躺平(寝そべり)」と言うようにもなった。
 
 
 この風潮から派生したものと思われるが、中国の若者の間では自分達のことを「打工人」と揶揄するのも流行っている。
 
 「打工人」とはつまり「バイト人」。
 組織の目立たない小さな歯車として、お偉いさんの為にヘコヘコと頭を下げ、身を粉にして働くも、悲しいぐらいの収入しかもらえない卑しい存在という意味合いを持つ。
 「社畜」を指すことも。
 
 一種のブラックユーモアとも言えるだろう。
 決して軽くはない人生の重荷に押し潰されそうになりながら、吐き切れない不平不満を飲み込んで
 
 「ま、うちらはしがないバイト人だし(笑)」
と、心のバランスを整えているのだ。
 
 
 中国のネット上では、今やこのように「躺平族(寝そべり族)」と「打工人(バイト人)」のコンテンツで溢れ、あちこちで見かけるようになった。
 
 
 そんな中、先日インターネットでこのようなタイトルの記事を目にした:
 
 『做自己的CEO(自分が自分の最高経営責任者である)』
 
 
 己が己の策士となり、思想と行動の主導権を握る。
 無力に流せるままに動くのではなく、自分の意見を持ってどう働いていきたいのかを明確に知る、という意味らしい。
 
 もし自分が自分の最高経営責任者である意識を持てば、まるで自分そのものが一つの企業であるということで、
 たとえ実際はある会社の社員として雇われているとしても、上司と同僚一人一人を大切な『お客様』と見なし、丁寧にサービスを提供しようという心構えでいられる。
 
 価値観が通った芯を備わっていて、妥協せずに求めている生き様を目指す。
 思い通りに行かなくても、逆境を鍛えのチャンスと捉え、何度も現状突破にチャレンジする。
 
 
 どんなことにでも「主体性」を持つ。
 他人に舵を取らせる「躺平族(寝そべり族)」や「打工人(バイト人)」とはまるで真逆の生き様だ。
 
 寝そべったまま過ごそうという思想が主流となりつつある中で、なおこういった主張をネットに書き込むのは、何だか珍しいとでさえ感じた。
 
 
 寝そべり族やバイト人らは、こういった「自分の最高経営責任者である」考え方についてどう思うだろうか。 
 
 実際に自称「躺平族(寝そべり族)」という知り合いに聞いてみたところ、返って来た回答は以下の通りである:
 
 『それも素晴らしい考えだけど、したい人がすればいい。
  私は、私が生きたいように生きる、それだけ。』
 
 
 「躺平族(寝そべり族)」はどうも、他人と意見のぶつかり合いをも避ける傾向があるようだ。
 
 考えの上下なんて無い。
 それぞれが、それぞれの幸せになるように自由にしていればいい。
 
 
 意見を主張する、その行為の必要性でさえ感じない。
 
 こういった考え方も、「躺平(寝そべり)」の一つなのかもしれないと思った。
 
 
 これを読んでいるあなたは、今どのように生きているのだろうか?
 
 「躺平族(寝そべり族)」か。
 「做自己的CEO(自分が自分の最高経営責任者である)」か。

📚ほどほどに寝そべるCEOになれないものか

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