ロシア語一日一善(288)
レフ・トルストイ編著 八島雅彦訳注 東洋書店から
Величайшее знание есть знание самого себя: кто себя познаёт, тот познаёт и бога.
試訳
もっとも偉大な知識とは自分自身についての知識である。自身を理解する者が神を認識する者なのである。
величайшее は великий の最上級。есть は「である」самого себя は「自分自身」で生格になっていて、знание にかかる。ので、Величайшее знание есть знание самого себя は「もっとも偉大な知識とは自分自身の知識である」знание самого себя は знать самого себя を名詞にしたものとも考えられるから「己自身を知ること」というふうにも解釈できる。「自分が有している知識」ではなくて「自分についての知識」と解釈した方が妥当だろうか。自分の持っている知識がもっとも偉大だ、というのもなんか違うような気がする。кто себя познаёт, тот познаёт и бога.:「кто 節な者は、тот 節の者である」が骨格。познаёт は不完了体で不定形は、познавать これは「知る」で「知らない状態から知る状態に移行すること」という意味合いが強く、「認識する」とか「経験する」のような訳語が辞書には出ている。「己を知るものは、神も知るのである」
ここは不完了体だから、「己を知る」ということが同時に「神を知る」ということになるのであって、「己を知った」結果、「神を知る」という因果関係にはなっていない。
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