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「電気のF1」は、土砂降りによる波乱のレースでした

– フォーミュラE 第5(2018-2019)シーズン 第8戦 -

電気自動車のF1「フォーミュラE」(FE)の第8戦が、パリのど真ん中につくられた「ストリートサーキット」で行われました。前回も書いたのですが、始まってまだ5シーズン目のこのシリーズは、モータースポーツ独特の爆音がなく、以前は自動車業界でもあまり注目されていませんでした。でも、ハイブリッドやEV(電気自動車)の普及など、クルマの電動化の流れに乗って、今シーズンからBMWと日産がワークスチーム(自動車会社自身のチーム)で参戦を開始。インドのマヒンドラ、アウディ、DS(プジョー&シトロエン)、ジャガーと全11チーム中6チームが大手自動車メーカー直系となっています。

パリでのレースは、ナポレオンのお墓があることでも有名な「アンバリッド」周辺で行われました。決勝レース前に降った雨が残り、パリの道路は滑りやすい状態。そこで、スタート直後の混乱を避けるためにセーフティカー(SC)と呼ばれるクルマが先導し、隊列を組んでの走行から「パリE Prix」は始まりました。

2周目にSCがコースを離れると、いよいよレース開始…となったのですが、波乱の展開が始まります。まずポールポジションからスタートし、後続との差を開きつつあったオリバー・ローランド(イギリス)が単独クラッシュ。トップの座を引き継いだ、チームメイトのセバスチャン・ブエミ(スイス)も、タイヤのトラブルで後退。予選でトップ&2番手タイムを出して、フロントロー(一列目)からスタートしたニッサンの2台は序盤で上位争いから姿を消すという不運。

この結果、トップに立ったのはニッサン勢の後方、3番グリッド(スタート位置)からスタートしたロビン・フラインス(オランダ)。6番手スタートながら、アグレッシブな走りで序盤に順位を上げてきたアンドレ・ロッテラー(ドイツ)とレース終盤までテール・トゥ・ノーズの優勝争いを展開しました。このバトルは手に汗握る展開でしたよ。でもその後ろでは、天候の影響でコースアウトやスピンなど、アクシデントが山盛り。

スタートから15分を経過した頃に降り始めた雨が、数周後にはゲリラ豪雨並みの土砂降りとなったんです。「フルコースイエロー(FCY)」、つまり、コース全域にわたって追い越し禁止を意味する黄色の旗が出され、全車50km/hを超えるスピードでの走行が禁止。このFCYは約3分後に解除されてレースは再開されたんですが、びしょびしょに濡れた路面でクラッシュが多発。結局、4度目のFCYが出された状態で、45分+1周で争われる規則になっているFEのレースは終了しました。

めったにないほどの荒れた展開の中、最後まで冷静な走りでロッテラーを抑え切ったフラインスがFEでの初優勝。年間ランキングでもトップに浮上しました。今シーズンのFE、これまで8戦が行われて8人の勝者が生まれるという、稀に見る混戦状態です。F1では勝つチームがいつも同じでつまらない、なんて言われる事もありますが、FE誰が勝つのか分からない面白さがあります。

2位は、前戦ローマに続いてロッテラー。チャンピオン争いでも1ポイント差の2位につけました。7番グリッドからスタートし、安定した走りで順位を上げたダニエル・アプト(ドイツ)が3位という結果でした。

ちなみに「モタスポ!Park」は、ドイツの部品メーカーであるZFさんに情報提供などお世話になることがあるんですが、そのZFさんはショックアブソーバー(サスペンション部品)とパワートレイン(動力ユニット)を2チームに供給しています。「HWAレースラボ」のゲーリー・パフェット(イギリス)は8位でゴール。「ヴェンチュリー・フォーミュラEチーム」のフェリペ・マッサ(ブラジル)も9位に入り、ZFテクノロジーがダブル入賞でした。

©formulae


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