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記事一覧
嘘の日記「スカート」
初めてスカートを佩いたとき、私は風になった
中学生までずっと佩けなかったスカート
この街ではスカートは似合わないから、私は17で家を出た
白いリネンのスカートと、海の見えるこの街
あの人の顔は寂しいけど、海街での生活に憧れていた
生糸とミシンとアイロンをスーツケースに詰め込んで、この街でスカートを作る
君のかわいさを知らせたくて、風の心地を知らせたくて
夏を生きる君のために今日も白いスカー
嘘の日記「感情、創作、ピカチュウ」
朝はもつ鍋のあまり。昼はセブンイレブンのリングビスケット。食べすぎていると思う。
同僚から「聴くと元気が出る音楽なんてありますか?」
とチャットが飛んできた。
「気晴らしにしかならないかも」
と返した。音楽を聴いて元気が出る、と思うのは、それは気のせいなんじゃないかという気がする。
それからちょっとして、私から「創作物って感情で遊ぶためのものだけど、そうやって遊んで感情を増幅させたら生きていくうえ
嘘の日記「スクランブル」
処方された薬のせいなのか性欲の減退を感じていた。ただの杞憂か。
服用後に酒とたばこをやると目の前が揺らめいているようになった。しかし、こういった初めての経験は有意義ではある。
性的な感度が低下していた。恋人との行為の最中に状態が悪化し、中断をせざるを得なくなっていた。胃が荒れている。
翌朝、逃げ出しように恋人の部屋から出て、土曜の日暮れを迎えつつある渋谷スクランブル交差点の灰皿が設置された場所に
嘘の日記「Ollie」
『ご自由にお書きください』
『いまどうしてる?』
俺が毎日見る文字だ。
今日も今日とて、ネットに引きこもる。
ネトフリとYouTubeの毎日。未来は見えない。何も起こらない。
しかし、今日は月に一度の一大イベント!
雑誌『Ollie』の発売日なのだ!
俺の本棚にギッシリ詰まったOllieの数々を見よ。引きこもりなのにこんな雑誌を読んでるの?なんてナンセンスな質問はやめてくれよ。
何年も着てダル
偽の日記「喫茶ロッソ」
土曜日
快速か各停かどっちに乗ろうと迷っていたら電車を3本逃した。
彼女も僕が時間にルーズだと分かりきってるし、別にいいや。こんなことばっかりしてるから時間の浪費がやめられないんだと思う。
結局快速に乗った僕は町田駅に着いたところで約束のキャンセルのメールに気づいた。時間にルーズすぎたか?
ただ、彼女がめんどくさくなっただけだった。彼女も彼女でかなり雑な性格。だから、こうやって気楽に付き合えるの