嘘の日記「変な夢」
彼からLINEが来た。
「今から飲まね?」
あまりにも唐突すぎる誘いだが私も暇で暇でしかたないから行くことにした。
集合場所の間取りが送られてきた。おかしくない?
場所は…コメダ?おかしくない?まぁ、行ってみるか。
指定された新宿・靖国通りのコメダ。だった気がする。店内の間取りがそうだった。
彼は6月だというのにトレンチコートを着ていた。頭おかしくなっちゃったのかな……不安要素たっぷりだが帰る訳にもいかないし、気持ちを強く持とう!
「おまたせ」
「おそい」
え、かなり予定より早く来たのに?どんだけ早い時間に来てたの?コワ...
とりあえず、一言謝って席に座ると恐ろしい速さで店員さんが来た。
「ビールでよろしかったでしょうか」
待て待て。ここはコメダ。気でも狂ったか?色々なことが起こりすぎてわけわからなくなってきたが、ここは新宿。なんでもアリな街だ。受け入れよう。
「ビールで…」
彼の手元にはアヒルが浮いているハイボールらしきものがもうある。コメダの皮を被った庄屋か!私は意味の分からない解釈をした。
しばらくすると半分泡に埋まったアヒル入りのビールがきた。もう驚かないぞ。
アヒルジョッキで乾杯をして飲む。うん、味は普通だ。良かった。
良くなかった。彼がいきなりキレだしたのだ。えっ?えっ?なに?
彼の言語はドゥームメタルのような重たいものだった。怖い。
完全に壊れた彼は一気にハイボール(?)を飲み干すと、卓上にある唐辛子でペペロンチーノを作ろうとしている。
もう理解できない!!こわい!!助けてお母さん!!
キレながらテーブルに唐辛子を塗りたくる彼と泣きじゃくる私。
ここでこの悪夢が終わった。
よかった。本当によかった。
あんなこと起きてはならない。一応彼に伝えよう。
現実の彼は落ち着いていて優しい人。あんなことは絶対しないだろうけど、い、一応伝えよう……
LINEを開くと彼から連絡が来てた。
「今から飲まね?」
冷汗が落ちる。
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