脚が痙攣してしまう人に共通する、あること
レース後半に脚が攣ってしまう…
わかります。すんごくわかります。
なぜなら、僕もよく攣っちゃってたから・・・w
脚攣り、つまり筋痙攣ですけど、一般的には二通りの原因があるといわれてます。ここで一度整理してみましょう。
まず一つは、脱水や血中電解質濃度の低下によっておこるパターン。
汗のかきすぎの結果として、筋や腱のセンサーがバグっちゃうことで起こる。
これは、夏場によくある感じでしょうか。寝てる時に起こる筋痙攣も、これが原因の一つかもしんないですね。
これはまあ、ちゃんと水分やミネラルを適切に補給してれば問題はないわけです。
サプリなんかを補給すれば筋痙攣が治まっちゃったって人は、原因がこのパターンだったんでしょう。
でも・・・、冬場のマラソンで汗もあんまかいてないのに
なぜか後半に脚が攣ってしまうパターンもありますよね?
このやっかいなパターンの原因は、こうです。
筋と腱にはそれぞれ別のセンサーがついてて、役割が違います。
筋についてるセンサーを筋紡錘っていいますけど、このセンサーの主な役割は、筋が必要以上に伸ばされることで引きちぎれないように、筋を縮めるっていうもの。
対して腱についてるセンサーのことをゴルジ腱器官といいますが、この役割は筋紡錘とは逆で、筋が必要以上に伸ばされることで引きちぎれないように、筋を緩めるっていうもの。
このお互いのセンサーのバランスで、筋緊張はコントロールされてるんです。ただ、まだわかってないことも多いんですけどね。
生理学的にいうと、こういう二つのパターンが考えられるんですが、どちらにせよ、センサーのバグが痙攣を起こすんだろうってことです。
では、じゃあなんでそういうバグが起こってしまうのか?
ミネラル不足っていうはっきりした原因があればそんなに困らない。
なんで、筋紡錘とゴルジ腱器官のバグが起きてしまうのか?ということ。
この原因が結局は、オーバーワーク、つまり無駄使い、ってことなのかと。
で、なんで無駄使いするハメになるかっていうと、これが今日のお題。
「脚が痙攣する人に共通する、あること」なんです。
実は、フルマラソンの30㎞以降に脚が痙攣してしまうランナーの多くは、男性なんです。 圧倒的に、男性が多い。
30㎞以降、歩いてる人、必死に足をストレッチしてる人をよーくみてみると
ほとんど男性です。おもしろいことに。
何でかっていうと、これは僕の推論でしかありませんが
男性の方が筋力があるので、筋力でゴイゴイ走っちゃうのかな、と。
その証拠に、僕のワークショップではブリッジをやりますが
男性の方が圧倒的に硬い…(苦笑)
もちろん女性でも硬い方はいらっしゃいますけどね。
胴体が硬いとスムースに重心を崩すことができないので
重力を有効活用できず、筋力を無駄に使って走らざるをえない。
これが後半に脚が攣ってしまう人に共通すること。
のような気がします。
その疲労の積み重ねで、筋紡錘とゴルジ腱器官のバグが発生するんじゃないかなーと。
この「水分やミネラルの不足」と「筋肉の無駄遣い」。
これが、筋痙攣の一般的な二通りの原因だと考えられます。
ただ・・・あとねー、実は最近、もうひとつ別の原因にも注目してます。
それが、デフォルトモードネットワーク。
これって、僕たちの脳内ネットワークの話なんですけど
これまで僕たちの脳って「話をする」「本を読む」みたいな
意識的な仕事を行っているときだけ活動してて
何もせずぼんやりしているときは脳もまた休んでるって考えられてきたんですよね。
ところが最近の脳機能イメージング研究によって、驚くべき事実が明らかになったんです。
どーいうことかっていうと、安静状態の脳でもしっかり活動してるってことなんです。
しかも,この状態での脳活動に費やされているエネルギーって
意識的な反応に使われる脳エネルギーの20倍にも達するっていう・・・。
この脳活動の中心となってる「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」って呼ばれる複数の脳領域で構成されるネットワークで、脳内のさまざまな神経活動を同調させる働きがあるらしいんです。
自動車が停止してもいつでも発進できるようエンジンを切らないでおく、みたいな感じっすね。
これから起こりうる出来事に備えるため、さまざまな脳領域の活動を統括するのに重要な役割を果たしていると考えられてるわけなんですけど・・・
ここがすんごーくポイント。
「これから起こりうる出来事に備えるため・・・」
ここ。ここっす、ポイント。
確かに、何が起こるかわからない今日ですから、備えは必要。
完全に電源をオフにしちゃって、いざという時のフットワークに影響が出ちゃったりすると、これはやっぱり問題です。
ただ・・・
それもね、やり過ぎるとよくないんじゃないのーって思うわけです。
要はですねー、「考えすぎ」ってやつっすね。
それによって、エネルギーの無駄遣いが起こる。
すると・・・
体の中にあるエネルギーを、その脳内ネットワークに持っていかれて
肝心な脚の筋肉に適切に配分されないってことが起こり得るんじゃなかろーかと。
それのエネルギー供給不足よって、筋紡錘とゴルジ腱器官のバグが起こるんじゃないかっていう仮説が立てられるんじゃないかって思うんすよね。
頭の無駄遣い、ですね。
まだ来ていない「未来」のことに、想いを馳せすぎてしまう。
どーでしょー?
筋肉の無駄遣いと、頭の無駄遣い。
人間の体っていうのは、面白いっすねー。
不思議だらけだわw。