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Vol.1 胴体回旋&落下スキルを身につける必要性とは?

ここから数回にわたり「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」について整理していきます。

これまでにもこのスキルは取り上げてきましたが、日々このスキルと向き合い続けることによって、みなさんへの伝え方も日々アップデートされてます。

そこで、僕の頭の中を整理しつつ、誰が、いつ読んでもスムースにスキル習得ができ、かつ、このスキルに迷った際にいつでも基礎を確認できる、そんな「伝家の巻物」的コンテンツとしてまとめていきます。

そこで今回はまず、そもそもなんで胴体回旋&落下スキルを身につける必要があるんでしたっけ?ということについて整理していきます。

身体のバネを活用し、ランニングエコノミーを高める

なぜ、胴体回旋&落下(TRF)スキルを身につける必要があるのか?

一言でいえば「ランニングエコノミーを高めるため」です。

では、なぜTRFスキルを身につけるとランニングエコノミーが高まるのか?それは…

腱の弾性エネルギーを活用することができるから、です。つまり「バネ」ですね。

ランニング時にアキレス腱は弾性エネルギーを蓄え、それを活用することによって筋の仕事を35%減少させるという報告(*1)があったり、腸脛靱帯もアキレス腱と同様に弾性エネルギーを蓄え、筋の仕事を減少(*2)させることができるということがわかっています。

では、なぜ筋の仕事を減らす必要があるんでしょうか?それは、筋肉の収縮には、代謝エネルギーが必要だからです。代謝エネルギーとは、脂質や糖質を元に作るATPのことですね。

このATPが枯渇するってことは、僕たちが枯れることを意味します。マラソンの30km以降に枯れ果てた経験がある方、いらっしゃいますよね?
#はい僕です

ですから、できるだけATPが枯渇しないようにマネジメントしなきゃいけないわけで、そのためには「いかにATPを作り続けるか?」という視点と、「いかにATPを無駄遣いしないようにできるか?」という視点が重要。

腱の弾性ネルギーの活用は、この後者の視点において役立つ、ということですね。

では…

なぜ腱の弾性エネルギーを活用するためにTRFスキルが必要なのか?それは…

①タイミングよく胴体を回旋することで、腱を瞬間的に伸ばし、弾性エネルギーを蓄えることができる
②適切に胴体を落下させることで、さらに弾性エネルギーを蓄えつつ、それを効率的に地面に伝え、リターン(推進力)を得ることができる

こちらの動画をご覧ください。
https://youtube.com/shorts/WCQTvSm0y88

まずはこの動画と同じように動いてみましょう。

すると、上でお話しした①と②の意味が、身体を通してなんとなく腑に落としていただけるんじゃないかと。

この動画のように、「胴体の回旋と落下」を伴いながら着地すると、身体のバネによってある程度「勝手に」反対方向に胴体が回旋しつつ、上方向に弾んでくるはずです。

この「勝手に」が最も重要な感覚で、ここを頭で理解するのではなく身体で掴めてないと、この先に進めません。ここがTRFスキルの核心です。

というわけで、今日は「なぜTRFスキルを身につける必要があるのか?」というテーマでお話ししてきました。

冒頭もお話しした通り、このスキルは日々アップデートを繰り返しています。よって、1ヶ月前と言ってることが若干違ったりすることもあります。

本筋に特段の違いはないんですけど、深掘りすればするほど面白い発見があり、都度都度アップデートしています。

なので、以前まで使っていた動画にもツッコミどころがあり、その部分を修正した動画を作成して、次回以降はそれをベースにお話ししていきます。

それではまた🙌

(*1)Alexander RMN, Bennet-Clark HC (1977) Storage of elastic strain energy in muscle and other tissues. Nature 265(5590): 114-117
(*2)4) Ker RF, Bennett MB, Bibby SR, Kester RC, Alexander RMN (1987) The spring in the arch of the human foot. Nature 325(7000): 147-149

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高岡尚司(プロランニングコーチ)
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員