TRFスキル・ステップ❸〜腸脛靱帯を使って推進力を高める〜
今日はTRF(Trunk Rotation&Fall)スキルのステップ❸ドリルを解説していきます。
前回の内容をまだ確認してらっしゃらない方は、まずそちらからご確認いただくとスムースかと。
ステップ❶
ステップ❷
それでははじめましょう🙌
腸脛靱帯は「靱帯」ではない!?
腸脛靱帯って聞くと、多くの方は「ああ、あの膝の外側が痛くなる、アレでしょ?」となるかもしれません。
そうです。腸脛靱帯炎はランナーが抱える膝の症状の一つ。結構悩んでらっしゃる方、多いですね。
そんな腸脛靱帯、「靱帯」と名がついてますが、実は「靱帯」としての機能だけではなく、「腱」としての機能も持ち合わせているんです。
ですから、弾性エネルギーを蓄えることができます。下の画像をご覧ください。
参照:https://www.jusei-news.com/gakujutsu/feature/2020/02/20200201_01.html
このように、大臀筋や中臀筋・大腿筋膜張筋が腸脛靱帯に移行し、そのまま膝の外側に付着します。腸脛靱帯炎ってのはこの付着部の炎症のことですね。
この腸脛靱帯は、TRFスキルを考える上でものすごく重要な存在です。
胴体を回旋させる際、大転子付近(上の画像の赤丸)を瞬間的にストレッチします。
そのストレッチによってこの腸脛靱帯もストレッチされ、その際に蓄えられた弾性エネルギーが「勝手に」身体を正面に戻してくれます。
そこで、今日のTRFスキルのステップ③動画を観てみましょう。
https://youtube.com/shorts/Ka2Dj1MtXqM
右足に体重を乗せて、胴体を回旋させながら落下します。このとき左足にはほとんど体重乗ってません。
ここでは「勝手に身体が正面を向く感触」を掴んでいただきたいわけですが、この「勝手に感」を出してくれてるのが「腸脛靱帯」です。
動画のように胴体を右回旋&落下させると、右大腿の外側にストレッチ感を感じますよね?それ、腸脛靭帯が弾性エネルギーを蓄えている状態です。
ここで蓄えられた弾性エネルギーが、一歩の推進力向上に役立つわけですね。
ただ、多くのランナーがこの腸脛靱帯の弾性エネルギーを活用できてません。なぜなら、この弾性エネルギーのローディング(蓄えること)には、胴体を回旋させるスキルが必要だからです。
胴体を回旋させることによって、荷重時の腸脛靱帯に弾性エネルギーを蓄えることができます。
ちなみに、僕たちの腸脛靱帯はチンパンジーの腸脛靱帯と比べて、10〜15倍の弾性エネルギーを貯蔵できるという報告があります。
この違いは僕たちの進化を示す一つだと言われていますが、二足歩行、そして二足走行ができる僕たちヒトのほとんどは、このような「せっかく授かってる仕組み」を使いこなせてないんじゃないかなーと。
TRFスキルは、ヒトとしてそもそも備えている「腸脛靱帯」のバネまで活用するためのスキル。
今日の動画ドリルは日常生活の隙間時間でぜひやってみましょう。何度も何度も繰り返すことで、身体に馴染んんでいきますよ。
そんなこんなで、今日もニンマリと口角上げていきましょう☺︎それではまた!
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員