「率」で喰っている訳では無い話
<おじさんDX Vol 225>
小売業なので売上も重要ですが、職場であった出来事を少々記事にしてみました。
✅仕入コストダウン
仕入金額を交渉し、仕入コストを削減した様子ですが、その仕入コストの削減によってサプライヤー様の経営を圧迫するような事はあってはならないのです。
小売業は、商品を供給して頂いて商売になるのですから、自社だけが利益を上げる事は、好ましくないのです。これは創業者の教えであります。
値下げは、利益を圧迫します。市場原理により致し方ない面はありますが、たった10%でも、その影響は大きいのです。
今回見られたのは、値引販売を行う分をサプライヤー様に負担をさせるような行為でした。
通常時
✅例 納入価格300円 販売価格500円(税抜き) 販売時利益200円
✅粗利率:40% 納入値引き率0% 販売値引き率0%
値引き販売時
✅例 納入価格250円 販売価格450円(税抜き) 販売時利益200円
✅粗利率:44.4% 納入値引き率16.6% 販売値引き率10%
10%の値引分の負担でも、サプライヤー様の値引き率は、大きくなります。数字のマジックのように見えますが、こうした事は、往々にして発生しているのです。
✅「○○円で売りたいから、仕切価格を○○円引いて欲しい。」
安易な考えのバイヤーに多いケースとも言えますが、本来なら販売計画がきちんと納得のいくものであれば、さらに値引き交渉は出来るのです。
✅「現状よりも取引数量を2倍にするには○○円で売る必要がある」
✅「だからこそ、仕切価格を○○円引いて欲しい」
✅「商品供給量について確認をおねがいします」
自社の利益ばかり考えず、サプライヤー様の利益(売上)も考えて価格交渉をするのが、通例と思います。特に大口の取引先ともなると取引数は多いですから、双方にメリットが発生するような交渉が必要です。
仕入価格交渉の担当者ともなると、仕入価格を下げる事しか見えなくなるのです。販促課との連携が必要な理由は、ここにもあります。
企業に対して、サプライヤーの悩みはあるのです。
バックリベート、達成インセンティブ等も同類の状況もあります。
✅ここで少々質問😁
サプライヤー様に負担をかけないようにするのは勿論なのですが、こうした値引き交渉によるコストダウンは、付加価値が発生しないと考える場合もあるのです。
事例のように納入価格を下げて仕入を行い、その分を単純に値引き販売すると、コストダウンの交渉をした人の人件費は?と...。
✅安く仕入れて、その分を売価で吐き出すのは、利益増になるのですか。
✅「粗利率が向上します💦」
苦しい返答でした🙄
✅「率」よりも「額」
安売りが横行するとこのような発想になるのですが、現実に私達が収益を上げているのは「利益額」です。
もちろん粗利率も重要な判断基準になりますが「額」を考慮しないと利益が確保出来ません。これは売上額を大きくする意味合いもあるのですが、不景気になると売上額のボリュームは減りますので、粗利率を重視したくなるのですが、そこからもっと先には、粗利額(利益額=儲けの金額)があるのです。
「安くて粗利率の高い商品」と「高くて粗利率の低い商品」で利益額はどうなるでしょうか?
✅利益率が50% 売価1000円 販売時利益500円
✅利益率が10% 売価10,000円 販売時利益1000円⭐
当り前の話なのですが、粗利率のみ重視すると儲からないケースもあるのです。その逆に売上を増やす事ばかり重視して粗利確保を疎かにするのも同様に儲かりません。
こうした原価意識や利益額(粗利額)の考えは、大切なのです。