なにげない親切心が、思いもしない爆発的な相乗効果をもたらしている話。
<おじさんDX Vol 43>
本日は、知人のGさんをご紹介します。
Gさんは、大手インテリア用品業界の店長でした。(かなりの変人です)
私は、Gさんの顧客であり、Gさんも私の顧客です。お互い年齢が近いというより、仕事の仕方や考えが、ちょっと変わっていて意気投合したのが、ご縁の始まりです。
✅とある学生街の店舗
Gさんの店舗は、大所帯の大型店舗になります。
そこで扱う商品は、多種多用でまさに暮らしのパートナー。
店舗は、とある学生街の近隣にあり、その店舗に着任したのが、7年前くらいです。着任前から街行く人に大学生が多い環境でした。
状況
🍀学生向けの施設や飲食店が多い。
🍀食料品を購入している学生が多い。
🍀付近に数多くある賃貸物件は、どれも満室。
🍀地域の賃貸物件は1LDKや1DKがメイン。
🍀大学は、学費も含め費用がかかる。
考察として
🍀身の回りを含めて低コストがいいだろう。
🍀入学と共に、1人暮らしを始める人が、多いのだろう。
🍀その割には、引っ越し業者のトラックが、あまり見られない。
🍀どこで家具や家電類を購入しているのだろう。
🍀4年制大学の卒業後、家具類はどうしているのだろう。
低コスト商品は、PB商品(プライベートブランド)がある。
品質やコスト面は、充分要件を満たしているはず。
Gさんの推測からすると、地域的にPB商品の販売には有利な筈なのに、他店と比較して、自店のPB構成比は平均レベルだったそうです。
Gさん:「僕は、そんな疑問がずっと頭の片隅にあったんだよね」
もっと、顧客1人1人に応じたパーソナルな接客がしたい。
「いつしか環境に慣れるにつれ、その疑問を忘れかけていたんだよ」
✅学生アルバイトとの縁がきっかけ
後にキーマンとなる Iさんが、アルバイトで入社します。
面接時の雑談で、入学後1人暮らしにあたってIさんが、とりあえず最低限用意したつもりだったようですが、実際に暮らしてみると、あれも足りない、これは大きさが...と不便を感じていた事を知ります。
🍀『何を揃えたらいいか教えてもらえますか?』
Gさんは、その話を聞いて、
『初めての1人暮らしだもんな』
『家具以外にも用意するモノが、多くて大変だよな!』と
Iさん用に、おすすめの「インテリア用品のリスト」を作ります。
□部屋は大きくないから家具類は、大型なものは使い勝手が悪い。
□4年後卒業の際には、処分してしまう可能性がある。
□初期費用は、両親が負担しているのでコストが低い方が喜ばれる。
□リストをデーター化して、自社のホームページにリンクさせる。
□商品説明は、Gさん独自+HPの説明。
□リストにチェックを入れると総額が自動計算される。これで、出費や予算などの目安になる。
□データーは、メールで配布するから遠方の両親とも情報が共有しやすい。
という、簡単なモノでした。
Iさんは、そのリストを見て、必要なモノを揃えることが出来て
『大変助かりました♪』と満足そう。
よかった よかった
これで話は終わりではありません。
✅やがて転機が...
学生の間でGさんの作ったデーターが、
意図せず爆発的に広まっていたのです。
ちなみに、情報の出どころは、Iさん。
同じように困っている学生に「こんなのがあるんだけど♪」と、すすめたそうです。
🍀『利用してみたらすごく便利だったよ♪』
🍀『バイト先の店長が、1人暮らし用に考えてくれたの♪』
🍀『聞きたい事があったらそこにあるアドレスで聞けるよ』
これがきっかけ。
Gさんは、そんな事があったとは知らず。
翌年になると、どういう訳かメールで学生からの問い合わせが殺到。
🍀「こちらとしては、見たことも聞いた事もない人」
🍀「でも、その学生さんは、私の事を知っている」
Gさん:『最初は意味がわからなくて僕は驚いたよ』
✅実際に使用してみる大切さと気付き
Gさんは、学生用アパートの大家さんに、無理矢理頼み込んで入居させてもらいました。目的は、実際に使用して暮らしてみる事です。
🍀『実際に学生の1人暮らしがどういうモノか知りたくて...』
🍀『不気味だっただろうね...こんなおっさんが隣にいて...』
🍀『諸元や寸法だけじゃ実際わからないことも多かった』
🍀『1LDKや1DKの部屋では、大は小を兼ねない』
Gさんは、自社ブランドの家具を自ら購入して使って生活してみるのです。そこで、リストにある、おすすめの食器棚を実際に使うと、どうにも使い勝手が良くないことに気付きます。
🍀『いつも使う食器は、茶碗の設定だった』
🍀パン食メインだったら、使用頻度の高い皿を置くには奥行不足。
気付いたのは良いのですが、そう簡単に製品の設計を変更する事も出来ません。設計変更によるコストアップは、Gさんの思惑と外れてしまうのです。
🍀製品寸法を変更するには、基準となる板のサイズが課題。
🍀1枚の板から4枚切り出すのと3枚になるのでは大きく違う。
🍀生産コストが上がってしまうと販売価格が高くなる。
🍀工程を増やさず、材料を無駄にしないのが、コストダウンの秘訣。
扉の金具や取り付け方法を改良して、ギリギリ寸法を確保。設計をやり直してもらって対応できたそうです。
🍀『あの時は、僕はまいったよ...』
🍀『米が主食の僕は、すっかりパン食の事を忘れていたのだから』
🍀『あの頃リストを見て買ってくれた学生は、パイオニアさ!』
🍀『だからその後、改良した製品に全て僕が差し替えたんだよ。』
🍀『機能だけでなく色合いとか雰囲気も大事』
🍀『僕には、そうしたセンスがなかった。』
🍀どうしてもセレクト内容が、おっさんくさい。
🍀『だから、Iさんとかに、色々聞いたりしたんだ』
🍀『その他、色々な人からのアドバイスを積極的に求めた』
🍀『それがなかったら、こうした効果は出なかっただろうね。』
そのリストは改良に改良を重ねて、
🌈王道のスタメンが揃います。
✅1人暮らしには『これを買え!僕のおすすめ』リスト
✅家電とかはどうしているの?と私が問うと
Gさん:「僕が思うに、家電は高い」
Gさん:「おまけにウチの会社は、家電に弱い!」
おそらく大学の近くにある、大手家電量販店で購入しているのかな?
Gさん:『でも、新品は高いからね...ニヤリ』
と、Gさんは答えるのです。
✅Gさんらしい行動
🍀『ほら...○○さん(私の事)も知っている』
🍀『あのリサイクルショップの○○さん』
✅大学生活は、順当に行くと4年間。
✅新品を購入しても4年間しか使わないケースが多い。
✅1人暮らしだと使用頻度も低い。
遠方から来ている学生は、就職先まで家具や家電を引越業者に依頼して運ぶのは、荷物の容積が多くなり引越代が、高くなる元です。
社会人になると、気分を変えたい、生活様式も変わる。さらに部屋の大きさも異なります。そうした理由で卒業後は、処分したり後輩に譲ることが、多かったとの事です。
Gさんは、こう推測していました。
✅入学時に身の回りの物だけで引越し
✅卒業時に身の回りの物だけで引越し
『これが理想的と僕は思うのだ』引越代の負担も減るし、準備も楽になるから。それでも使えるモノを捨てるのは勿体ない!
家電類は買取で処理出来たとしても、高級家具以外は難しい...
買取業者も商売になりにくい物は、引取りの対象としていない。
「僕の顧客管理リスト」は、誰が何を引き継いでいるか おおよそ、わるようになっているんだよ。細かい所では、鍋やフライパン、食器類もそうだね。あと、カーテン。意外とカーテンって高いから、おすすめリストも 引き継いだ物を考慮している。
ゆずるにせよ、格安で売るにせよ
✅個人間で金銭が絡むと 支払いでトラブルになる場合もある。
✅中古品だから、譲り受けてもすぐ壊れる事もある。
✅使用頻度が低いと言っても、それなりに汚れていたりする。
こうした問題もあるのです。
仲の良いリサイクルショップに話を通すことで、処分側も買取られることで確実にお金が入るのです。また、リサイクル品は、基本的に故障対応は出来ませんが、代替品などのアフターサービスが受けられるメリットがあります。
✅リサイクルショップの店長は、元〇〇電器の社員。
✅技術者で、目利きも利くので安心度が高い。
✅もちろん販売している商品は、点検済み、クリーニング済み。
✅定期的にリサイクルショップも売上が望める。
🌈三方共に良し!なのです。
ちなみに、このリサイクルショップ。
主に単身者用の冷蔵庫や洗濯機が、バカ売れで大変だそうです。
(伺った話では、その店だけが異常値がでているとか...)
その影響か、近隣の大型家電量販店は、単身者用の冷蔵庫や洗濯機が全然売れていないとか...😁
✅学生事情に詳しい理由
🍀仕事で遅くなった日に学生アパートに住んでいる。
🍀職場も近いし、夜中まで賑やかだし、寂しくない。
🍀僕の若い頃よりもずっとあの子達は、しっかりしている。
🍀共に助け合うという難しい事を平然とやってのけている。
🍀クチコミだけでなく、僕は新入生歓迎会にも参加した事があった。
「学校許可済みで、新入生をサークルに勧誘するイベントね」
🍀デメリットは、飲み会であの子達の体力についていけないことくらい。
すっかり、1人暮らし学生のコミュニティーの一員になっているのです。
🍀学生事情に詳しいどころか、もう当事者です。
✅意外なメリット
こうして学生が、ウチの店舗を利用して頂いているメリットは、売上だけでなく「ここにも、あそこにも 沢山あるんだよ」と言いました。
🍀前述の Iさんは、卒業後 僕の店にそのまま就職。
『学生に向けた取り組みでは、僕はすっかり追い抜かれているよ』
🍀今年は、更に3名が新卒で入社。
ありがたい事に、学生が就職先にウチの会社を志望してくれる。
🍀アルバイトは、常に応募殺到!で嬉しい悲鳴。
最近は留学生も多いから、なにかと国際的になった。
ウチは、配送もやってるから力仕事をやってくれて助かる♪
『彼等のまじめでハングリーさが、またいいんだ』
おかげさまで、人手不足なんて無縁だし、採用コスト『ゼロ』
✅幸せの追求
Gさんは、同じ立場の親の事も考えています。
大学ってさ、親の立場で言えば、学費やそれこそ 仕送りも含めて、お金のやりくりが大変なんだよ。親は、子供の為なら 何だってやるんだよ。僕がそうだっただけに...。
あの子達を応援したいだけでなく、自分の仕事を通してその親も応援したい!
『僕は、少しでもあの子達や、あの子達の親に貢献できたのかな?』
『もし役に立ったなら、僕は凄く幸せなんだよ』
私は、にこやかにそう語るGさんを見ながら
🌈働くって いいな!と思いました。
🍀駄文を読んで頂き誠にありがとうございます。 ✅1.ガリガリ君の購入資金に充てます。 ✅2.ボンコツな愛車の維持費の足しにします。 ✅3.神社のお賽銭か盲導犬に募金します。