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禅的思考とビジネスの親和性(2)

前回は一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生のSECIモデルが禅的思考であると確信していることについて触れました。
その際、「いやいや、SECIモデルは1対1やチームで知的コンバットをすることによって暗黙知を形式化しながら知を創造するのでは?禅的思考とどういう関係があるの?」という疑問が頭をかすめた方もいるかもしれません。
ではなぜ確信したのか。

暗黙知・形式知を持った個人が全人格ごと、別の個人の全人格とぶつからなければ、本当の意味での「組織の知識の創造プロセス」は描けない、ということだ。

出典:知識を創造するSECIモデルの根幹にあるもの

わかりやすいので、また入山先生の連載記事を引用しました。
この引用文で注目をして頂きたいのは「全人格」同士でぶつからなければならないと記載している点です。
「全人格」ってなに?
私も知らなかったのですが、調べるとフランクリン・コヴィー博士が提唱された「第8の習慣」にあるようです。その中で全人格的パラダイムとして、知性・肉体・情緒・精神の4つが説明されています。詳細説明は割愛しますが、大事なポイントはそもそもの前提として「自分のボイス(内面の声)の発見」を挙げている点です。
つまり、内面(潜在的な部分)も含めた「自分」ということになると思います。

そうなると、次は「潜在的な部分も含めた自分」とは何か?です。
皆さんは「自分」をどう認識していますか?
下は良く見るイラストだと思います。
海面の上に出ているのが「形式知」、海面の下は「形式知」ですね。
これを「自分」という視点で見ると、普段見えている「自分」、つまり「自分」だと思っている「自分」が海水面よりも上の部分となり、「自我」と言えます。
そして、普段気が付いていない潜在的な「自分」、つまり海水面の下の部分が仏教や禅の世界では「真我」(しんが)と言っています。(前回この部分を「本来の自分」と説明しました)

ということは、「全人格」でぶつかるということは、まずは「真我」である「本来の自分」も理解した上で、ぶつかる必要があるということになります。
皆さんもこんな経験はありませんでしょうか?
「◯◯さんの言っていることはもっともらしいんだけど、なんだか上滑りしているというか、ピンとこないんだよねぇ」
「△△さんの言っていることはわかるけど、所詮机上の空論じゃない?」
「XXさんはやりたいと言っているけど、所詮自分の点数稼ぎだよね」
最初の文は◯◯さんが心からやりたいと思っているのかどうかがよくわからない状態と言えるかもしれません。
2番目の文は△△さんが知識だけに頼って説明をしていることが想像できそうです。
そして3番目の文はXXさんの私利私欲が全面に出てしまっていますよね。
これらの状況は上のイラストの海水面より上の世界でしか話が展開できていないからと説明すると、「なるほど」と思えませんか?
そうなんです。
SECIモデルを回すためには、まずはメンバーの一人一人が「真我」を理解し、意識することで、初めて動き始めるのです。

次回はではどうすれば「真我」を理解し、意識するようになるのかという話に入っていきたいと思います。

〜 つづく 〜

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