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酒は飲んでも飲まれるな

酒は飲んでも飲まれるな、なんてな物謂いがありますね。私の場合、何十年にもわたって、たやすく酒に飲まれてきました。飲まれてばかりと言ってもいいでしょう。体質的に弱いんですよね。おふくろはほぼほぼ飲めず、親父もビールの小瓶でふらふらぐらいの感じだったから、まあ、遺伝ってことでしょう。もっとも、親父の姉妹弟には”中”がつくぐらいのアルコール好きが多いんですけれども。
吐くほど飲むのを繰り返すと酒に強くなるなんてことを耳にしたこと、ありませんか。あれね、嘘ですよ。少なくとも、私には当てはまらなかった。だって、未だに弱いですからね。ものすごい回数吐いてきたのにさ……って、何の自慢にもならない、というか、愚かものが自らの愚かっぷりを晒しているだけですな。

近年は炭酸で割ってばかりですが、かつては、バーボンやラムをロックで飲むということが多かったですよ。弱いのにね。そもそもその当時……って80年代とかもうちょい……はソーダ割りみたいなのはそんなに流行っていなくて、ウィスキーの類はロックか水割りでってイメージが強かったんじゃないかな。記憶あやふやですが。時代が変わったというべきでしょうか。蕎麦屋のお品書きにハイボールなんてのが並んでいるのを目にしてもちいとも驚けない昨今、お若い人には想像できないかもしれませんなあ。

そこそこ昔の思い出。
友だちんちでご馳走になっているときに「全ちゃん、ロックでがんがん飲むと胃に悪いよ」と気を使ってくれて「はい、チェイサー」と出されたのがビール。まあ、40~50度のものに対して4度のものはチェイサーと言っていいのかもしれんけれども。
また、別の日にはチェイサーとしてワインが出てきたこともあったな。40数度に対して10度強ってイメージでしょうか。こうなるとチェイサーとは何ぞや、と考えちゃうよね。
ちなみに、これはどちらも親愛なるロケット師匠です。彼がまだ師匠(マスター)になる前の話ですけれども。

……みたいなことを前にちらっと書いたことがあるんですが、チェイサーの正確な意味ってどうなってんだろうな。まさか、ビールとかワインも含むとか書いてあったりしてな、などと思いつつ、辞書に当たりまして、そこには衝撃の結末が!……続きは次週、乞うご期待!……なんて言いたいぐらいにびっくりしました。chaser(日本語の辞書では「チェーサー」という見出しになっていた)の定義、辞書によって微妙にちがうんです。これは当然のことでね、辞書ってのはそういうものだ。全部に同じことが書いてあるものではない。
で、ですね、水や炭酸って書いてあるのは、まあ、そうでしょう。私もそう思って生きてきた。ところが、その先にビールと書かれているものもあるし、弱いお酒みたいなことが書かれているものもありました。完全にロケット師匠が正しかった。この定義なら、ビールもワインもチェイサーと呼んでまちがいない。
で、衝撃というのはですね、とある辞書、っていうか、具体的には三省堂のウィズダム英和ってやつですが「強い[軽い]酒の後に飲む軽い[強い]酒」と記されていたんですよ。[]の中に注目してください。軽い酒のあとの強い酒? 逆もありなの? まじか。取り敢えず、ビールで乾杯して、あとは好きなもんいきましょう、じゃ、おれ、ウィスキー、ロックで、なんてな場合、ウィスキーはビールに対してチェイサーってことか。ううむ。もう何が何だかわからない。
何が何だかわからなくても困らないっちゃ困らない話ではありますが、気にはなる。ま、とにもかくにも、大事なのは「酒は飲んでも飲まれるな」ってところでしょう。ほどほどがよろしかろうと。

ちなみに、私がいちばん好きなのはブランデーです。そして、これは生でいただきますよ。ヘネ水なんつって水割りが流行った時代もありましたが、ブランデーだけは生でよろしくです。

*追記
気になったので、ネットをさらっと検索したらCambridgeにもウィズダムと同じような定義がイギリス英語枠として載っていました。日本での使い方はアメリカ英語由来なんでしょうかね。O.E.D.でも確認したいんだけれど、大昔に買ったMac版のやつ、いまのOSで動かす方法はないものだろうか。所詮、中身はテキストだろうから、何とかなりそうな気はするんだけれども。

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