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【映画所感】 愛に乱暴 ※ネタバレ注意

平穏な暮らしを維持しようとする主婦が、徐々に壊れていくさま

名バイプレイヤーとして、確固たる地位を築いている江口のりこ。

今作は彼女を主演に迎えて、吉田修一の同名小説のドロドロとした世界観を丹念に映像化している。

登場人物は、おもに初瀬家の3人。桃子(江口のりこ)と真守(小泉孝太郎)夫妻に、真守の実母の照子(風吹ジュン)。

彼らを取り巻く環境に不穏な空気が入り込むことで、バランスは微妙に崩れ、桃子への負荷はどんどん増していく。

言うなれば、2ちゃんねる(現、5ちゃんねる)の「今までにあった修羅場を語れ」スレッドや、「逃げられ寸前男の駆け込み寺」スレッドといった、夫婦や嫁姑間のトラブルを、リアルに見せつけられた感覚だ。

真守の桃子に対するフキハラ(不機嫌ハラスメント)の数々、挙句の果ての不貞行為。そして、桃子の過去にまつわる因果応報のジレンマ。

真のエネミーは配偶者etc…2ちゃん用語が次々と頭の奥でこだまする。

典型的なエネ夫である真守は、クズ中のクズであることを小泉孝太郎がさらりと演じてみせ、いつまでも良妻であろうとする桃子の痛々しさを、江口のりこが体現してみせる。

それにしても、立場はどうあれ施しを受けたなら、すぐに感謝の言葉を口にすることの大切さを痛感させられる。

「ありがとう」に込められた言霊(ことだま)の魔力は計り知れないのだ!

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