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【鑑録】ちょいおも

別れた後の恋人の行く末について。

別れる前のこと。付き合いはじめた時の事。付き合うまえの事。一切合切を思い出す機会というのは、もう今さら何も起こりえないと分かっていても。アル時にはアルもので。

運が悪ければ(仮に一緒になっていても)、もうアノ時の2人でなくなってしまっている場合もあれば…。運良く、お互いにどうする方法も見いだせないまま別々の道を歩いていても、(相手は違えど)それなりに幸せな場合もあります。

どこかあの時、あの瞬間で、そうはならない選択肢があったと思い出す場合もあって。それでも、結果としての今があるんだとしたら。運の良し悪しとは関係なく、今ある現実こそが、自分にとっての巡り合わせなんですな。

…マトリックスでメロヴィンジャンは「選択の意味」をネオに問います。

「大切なのは、ここに来た選択の理由」。アンハッピーな結果を生む選択も、ハッピーな選択も。何処かイビツで、不完全な方が現実的。結局のところ…それぞれはあるべくして其処にあると思うのが一番腑に落ちる選択なんだろうな、と思うのです。

色即是空…あなかしこ

本作は、一組のカップルを中心に起きたアレコレを、カレシの誕生日にのみ着目して、遡りながら辿る。恋愛群像映画です。

もし、この映画。末尾から順を追って描かれたものだとしたら、ということを観てる最中に考えておりました。おそらく凡庸なタダの恋愛映画でオシマイ…だったと思います。

作中描かれるエピソードの数々。よほど話題のキャストでなければ、他人の恋愛がたどる顛末を2時間かけて映画で見たいとは思えないぐらい、ごくごく普通のオハナシです。

2人の辿る時間の動きを推し量るモチーフになっている掛時計。あるいは不可逆をあえて遡ることで現われる、取り返しのつかない…けれど当人にとっては大切な記憶と思い出と選択のカズカズ。

思うに。
別れた相手を思い起こす時というのは縦横無尽。時系列はバラバラなんですけど、印象深い思い出だけが残り。やがて、それも記憶の片隅に埋もれていくのみ。引っ張り出せば出てこなくもないけど、わざわざ引っ張り出さないモノなのです。

敢えて、逆の時系列にしてみることで。人の心に訴える形としたのは、イイ意味で観客の心を惹きつけます。見方を変える、というのは大事ですな。ちょっとサガンを思わせる。。上質なフランス映画のニセモノぐらいには鑑賞後に思えてきます。(笑)

sardine ball

さて、こちらの映画。
大切な人と別れて、絶賛失恋中!の方にはお勧めできません。人にもよりますが、まず後悔の念とか怨みの念が再燃すること必定。

いつかは別れてしまうのに(あるいはココロ離れてしまうのに)ヒトはどーして恋愛しちゃうんでしょうね。流行性疾患の宣言•対応に追われるここ何年間かは、場末も上流も、デイユースのホテルは不倫だの浮気だので、大盛況と聞きます。

そーいうカップルさん。ホテルのテレビ、オンデマンドのAmazonプライム漁って、ベッドの上でイチャイチャしながら観ていただくのが…本作鑑賞の理想形かもしれません。

「オレ(アタシ)たちは、あぁはならないもんね〜」かなんかで。(笑)

渋谷エクセル東急…には、on demandあったっけな。

家庭平和と正義のため、正しい恋愛と失恋をオススメする次第です。若いってのはイイですな。(合掌)

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