三木、シュワ、フワ。
「どう?」
僕は妻に尋ねる。
先に子どもと夕食を食べていた妻は、僕を一瞥した後でそっと箸を置く。
「いくつに見えますか?
猫派?犬派?
に次ぐ
・・・・・・
三大どうでもいい質問だな」
と、妻は、上半身裸でモストマスキュラーポーズ(ボディービルダーのマッチョポーズと思って頂ければ正解)をするパパへ息を漏らす。
おそらく、ここで妻六級ぐらいの素人なら、そそくさとパジャマを着て大人しく席についてしまうだろう。
残念! んんなぁーんセンスッ!!
妻二段の僕は、マッチョではないが
美木良介
のようにロングブレスをして、妻へ近寄る。
「ふふぅううううううぅううっ!!!!」
つって、ね。
黒光もしていないし、オイルもないが、風呂上がりなことを考慮しても普段より多少は腹筋が割れて見える。
妻は妻で、吐く息が切れるまで、とりあえず待ってくれる(仮面ライダーの変身を待ってくれるショッカーのような)礼節を心得てくれているので、僕の息が切れてから、子どもへと向き直る。
「どう?」
今度は、妻が娘に聞く。
「うーん」
と娘は可愛く、首を傾げ、
「0点」
と恐ろしく、酷な言葉を発する。
「えっ、れっ、0点?」
「うん。0点
不合格!!」
色々な言葉を覚えてくるのですね。
と娘の成長に打ち拉がれ、乳首をチャイムのように押してくる息子をなんとか払い除け、僕はパジャマを着る。
(「誰がピンポンやっ!」とは、息子へ3回は言ってあげました)
これがきっかけだった。
さて、どうすれば100点へなれる?
というか、娘の100点ってなによ?
シュワちゃん?
キツくね?
フワちゃんでよくない?
と、一人悶々とした日々を過ごしていたある日、
「サウナに行きませんか?」
とお世話になっているテスラオーナーの社長・イケオジ様より声をかけていただく。
なるほど、なるほど。
そのスラっとしたスタイルの秘密は、サウナなのか、と初の本格サウナへと出かけることに。
サウナへ足を踏み入れた僕の気分はもう、
『はじめの一歩』のボクサーだ。
頭を項垂れ、垂れる汗を眺めながら、試合前の減量に耐える。
そう。
もう、試合は始まってるのだ。。。
的なことを想像しながら、一人「フフフっ」と悦に入る。
熱々になった身体を一気に水風呂で引き締め、もう一人のテスラオーナー社長と言葉を交わす。
「いやぁー、禅月さん。サウナで拝見していましたが」
「はい(・・・ボクサーみたいだったかな!)」
「背中が、」
「はい!」
「囚人みたいで、サウナ似合いますねー」
「えっ、しゅっ、囚人??」
「いい意味で」
「いい意味で?」
「捕虜的な」
「ほっ、捕虜?」
「いい意味で」
「いい意味で?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そう。これが決定打。
禅月、明日からジムに通うってよ。。。