全国休校の功罪はいかに?
つくづくハードな幕開けとなった2020年の日本であるが、安倍政権がことごとく批判を受けている。
過去の数々の所業を見れば、国民から嫌われるその報いは当然ではあるのだが、
個人的に今回の全国休校は、素晴らしい英断であったと思っている。
おそらくは、今までの初動の遅いひどい体たらくな対策への国民野党の批判を受けとめて「今回は素早く」という反省があったのではないかと信じている。
しかし、自業自得とはいえ、安倍政権はやること為すことがすべて批判され「進むも地獄、戻るも地獄」。なんだか少しかわいそうな気もしてくる。
きっと新型コロナウイルスへの漠然とした国民の不安や鬱憤の総合的な"はけ口"となっているにちがいない。
しかし冷静に考えてみれば、学校休校への不満が噴出していることは異常なことである。
このまま休校にせず、万が一感染が学校にも広がってしまえば、それこそ子どもたちの生命も脅かされない危機が訪れる。子どもが感染すれば親は仕事どころではない。
感染対策はやはり(未知のウイルスならなおのこと)あらゆる事態を考慮してリスクヘッジを取らなければならないだろうし、想定外のことが起こることを想定しておかなければ、後に何百倍ものとんでもない痛手を負うことになる。
なぜなら、感染者数の増加は幾何級数的だからだ。
この事実はしばしば忘れられがちなのだが、感染はとにもかくにも初期対応が本当に大切だ(ずさんな水際対策を蒸し返せば身も蓋もないが…)。
海外でも学校休校の対策は当然のように行われている。
子どもの命が大切だから。
だから全国休校に異議を唱える日本は異常事態なのだ。
しかし、これは不満を言う人が悪いという意味ではない。もちろん全国休校を批判したくなる気持ちも分からなくもない。
子どもは誰が面倒を見るのか、仕事を休むことが難しい、子どもの勉強は、などなど。
今回の全国休校をめぐる問題には、4つの課題があると思っている。
1、日本政府のコミュニケーション
今回のコロナ騒動では政府の情報提供が杜撰であったし、全国休校にしても性急すぎる。政府は世間に対してのコミュニケーションを配慮していく必要がある。
2、日本の労働環境
子どもの世話をしたいけれど、仕事が休めない。特に小さいお子さんがいる家庭、共働きあるいはシングルの家庭にとって日本の労働環境が厳しすぎる。テレワークの導入についても一部の企業だけで二極化している。
3、オンライン教育の整備
学校が休校でもオンラインで授業が受ければ何の問題も無かった。日本の教育は時代遅れだ。これをきっかけに教育のオンライン化を推進していくべきだ。
4、暖かく子どもを見守る社会の眼差し
子どもたちに感染が広がっていったらどうなるのか。心配にならないのだろうか。学校を休校にすることによって各方面で不利益が出てくるが、自分たちの目先の利益ばかりを追求せず、社会全体で痛み分けをして暖かく子どもたちを見守る社会にはできないだろうか。
今、日本は感染リスクや経済被害が甚大になりつつある。
これを契機に、浮き彫りになってきた様々な日本の課題を見直し、より良い社会にしていくための議論を国民全体で積み重ねていければいいなと思う。
いたずらに不満をぶつける批判ばかりではなく。