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創作意欲はどこから生まれ、どのように維持され、どう死ぬのか 2

1からの続きです

1 創作意欲はどこから生まれるのか
2 創作意欲はどうやって維持されるのか
3 創作意欲はなぜ失われるのか

創作意欲はどうやって維持されるのか

創作意欲が生まれたら無条件に創作し続けられるかというと、当然ながらそうもいかない

私は高校時代、継続して小説もどきやエッセイもどきを書き続けた
最初に書いたのは2年の6月からで、3年の10月に一旦中断している

以降大学1年の春と冬に書いた2本を除いて、創作活動と呼べるものはしていない

高校での約1年半で書き上げたのはキャンパスノート5冊とちょっと
この中には、ノート半分を使って修学旅行について事細かに記録したり、ノート約一冊分に及ぶ短編集(1~2p規模×30本)も含まれている

質はさておき、私はなぜこの量を書き続けられたのか
前回と同様考えられる要因を挙げていく

①アイディアが尽きない
ラッキーなことに、この期間中書くことがなくて悩んだことはほぼなかった
というよりは、常に小説のネタを探すだけの熱意があったし、尽きたら日常のワンシーンを切り取って書くということをしていたからかもしれない
あの頃はアホみたいに文章を書くことばかり考えてた

まずネタがなければ何もできない
1から10に広げるよりも、0から1を生むほうが大変とはよく言われる言葉である

②とりあえず取りかかってみる
ネタが用意できたら、完成形がイメージできなくてもとりあえず書いてみる
いわゆる「見切り発車」というやつだ
私の場合は小さな手帳を用意して、まずはそこに頭に浮かんだアイディアからキーワードやモチーフをメモして、ちょっとずつ構成を考えるようにしていた
この「プロット」がある程度できてからノートに実際に書き出す
たぶん1,2本書いて、ノート一発書きだとあとから良いシーンを思いついても追加できないというアナログの弊害があったからだと思う
デジタルっていくらでもあとから修正できるからほんと便利だ

それはさておき、創り始めのスタイルは人それぞれだが、考えるだけでは何も生まれないということだけは確かである

③何らかの形で完成させる
ネタが見つかって、いざ創り始めても、行き詰ることや迷走することは多々ある
しかしだからといってそこで諦めると、もう一度とりかかって完成させる気になれなくなってしまう
また、そこから次の作品作りに取り掛かったとしても、未完成を繰り返すと「もういいや!たぶんこれ飽きたわ!!」と脳が認識して(たぶん)、本格的にやる気を失ってしまう可能性だってある
こじつけでも色塗ってなくても、なんでもいいから強制終了してしまおう
あとから読み返して「急展開すぎる」と思えばまた「手直しする」意欲に繋がるかもしれないし、「続きの展開を一から考えて書く」よりは労力は小さくなる

④誰かに読んでもらえる環境にある
今考えると本当に頭を抱えたくなるのだが、私が小説を書き始めたと話したところ、読みたいと言ってくれた人たちがいた
私は非常に単純な生き物なので、当時何も考えず書けたらほいほいと見せていたのである
ちなみになぜか「親に見せるのは恥ずかしい」という感性だけは備わっていたため、親は未だに私が小説を書いていたことを知らないはずだ

なお世の多くの人は当時の私のように周囲の人間にほいっと見せれるほど鈍感ではないようで、Twitterやpixivという作者を直接知ることができない環境で作品を公開することが多いのではないだろうか
作品が出来ても見てくれる人がいなければ、作品は作品として存在意義を成さないからである

⑤読者/閲覧者になってくれた人が前向きな反応をくれる
④を踏まえて大事なのは、彼らがなんらかの反応をくれることだ
当然ながら、ただ「つまらない」というだけの否定的な感想や、「こんなの書いてるの?厨二?」といった反応は後述する意欲喪失の原因となる

しかし、べた褒めとはいかないまでも、書き上げたこと自体をいいね!と言ってくれたり、読みたいと言ってくれるだけでも十分な力になる

また、私の場合はつまらなかったという感想でも、この辺の文章が読みづらいとか、設定がいまいちわからんとか、アドバイスのようなものをもらえるのは大変ありがたかった
そしてこれは小説のネタを探そうとか、次の作品を書くときに意識して見ようとか、そういう意欲に繋がってくる

この①~⑤によってプラスのサイクルが構築され、創作し続ける環境が整えられる

また、このサイクルを壊さないための留意点として以下がある

⑥評価は気にしすぎない
見てくれる人とその反応は大事ではあるが、囚われすぎると足枷となり身動きが取れなくなる場合がある
特にネット上であれば、その匿名性から遠慮容赦なく低評価を食らうこともあるだろう
でも作者が作品のクオリティを気にして人の目に触れさせるのが怖くなってしまうのはあまりにももったいない

完全な商業用なら生活かかってたり売り上げによって次が決まったりするかもしれないが、創作自体はどこまでも自由だし、同人誌を売るにしたって何書いてもいい、趣味でやってるものなのだから気に入らないなら好きなものだけ追えばいい

あとはポジティブサイクルを構築する要素として追加できそうなものも考えてみた

⑦完成させる期日や目標を決める
私はこれをやったことはないが、たまに見かけることはある
「クリスマスに○○のサンタコスのイラストを載せます!」とかそういうのだ
あるいは新人賞に出してみようとか、これを書き上げたら自分へのご褒美を買うとか
ある意味では「人に見せる」というのも目標の一つといえよう
よくダイエットの目標達成のために「周囲に宣言する」のが効果的、と言われるがそれと同じである
私はストイックでもないし、自分以外の誰にも迷惑を掛けない約束には非常にルーズなのでやらないが、このスタイルが合う人もいると思う

まとめ
創作意欲の維持に必要な要素を思いつく限り挙げてみたが

①アイディアが尽きない
②とりあえず取りかかってみる
③何らかの形で完成させる
④誰かに読んでもらえる環境にある
⑤読者/閲覧者になってくれた人が前向きな反応をくれる
⑥評価を気にしすぎない
⑦完成させる期日や目標を決める

これ以外にもいろいろあるかもしれないが、どれも当たり前のことといえば当たり前のことだ
でもその「当たり前」、特に他人に左右される④⑤を守るのがなかなか難しいのである

さて、その「当たり前」をあっけなく崩していく要因は、3で挙げていこうと思う

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