B'zの「Blue Sunshine」を聴くと、切ないあの夏が蘇る
夏に聴きたくなるB'zの曲ランキング、個人的ダントツ1位。
暑苦しいことでイメージのあるB'zの作品ですが、この曲はめちゃくちゃ爽やか。
それでいて、歌詞が非常に切ない。そのギャップがたまらん訳です。
収録されているアルバム「GREEN」(2002)自体、なんかめっちゃ夏な感じの爽やかな楽曲が多い。この季節に聴きたくなるアルバムです。
好きな人とドライブ、という非常に楽しそうなシチュエーション。
でも、その好きな人には自分ではない好きな人がいる。
この構図、B'zの曲には結構ありがちです。
「恋心」なんかもそうですよね。
まあ、それが分かってても相手に誰が好きかなんて聞けんわな。
アクセルをぐっと踏むことしかできないのが切ねえ。
サビの歌詞、柔らかくて好きです。
オケに言葉を詰め込み過ぎないリリックが心地よい。
特に”揺れてる”の部分とかは言葉の乗っけ方が良いです。『揺れ・てる』みたいなね。
メロディやアレンジも相まって、本当に窓を開けたドライブで髪が風になびく女性が思い浮かぶ。
隣に好きな人がいるのに、最終的には”Blue Sunshine"に疑問をぶつけるしかないというのが切ないですね。
唐突なルー大柴。
よくよく考えたら一番もルー大柴だったな。
でも、語られてることは切ないんですよ。
隣にいる人のことが好きで、憧れているのに言葉が出てこない。
それは多分、主人公の好きな人は他の誰かのことを考えているから。
それが読み取れてしまうから、余計に何を言っていいか分からないんです。
遠回しに言ってますけど、要は片想いが両想いになるのはそんなに簡単じゃないよってことですよね。
気持ちが通じ合うって、本当奇跡なんですよね。
電話を握りしめる、という表現。
まさか別の男が運転している横で他の男に電話をかけようとは思わないはずですが、自分から連絡すべきかどうかとか、中々連絡が返って来ないとか考えているんでしょうね。
で、時々思い出したかのように横にいる自分に微笑みをくれる。
でも、それは運転してくれていることを労わってくれる意味での微笑みな訳です。辛過ぎるぜ!
この曲のポイントは、間違いなくここ。
テストに出るんで、しっかりメモしといてください。
この曲はイージーリスニングのような非常に覚えやすくて明るいメロディが組み合わさって構成されているんですが、このCメロは少し暗めの展開。
ここのメロディと歌詞で、恋愛だけじゃなく世界情勢にまでグッと世界観が広がる。
尚且つ、主人公の心情変化が短いセンテンスですごく伝わってきます。
作詞家・稲葉浩志の実力が滲み出ているフレーズでもあるし、ポップで聴きやすい曲の中にこういうフックをサラッと入れてくるTAK先生の音楽センスも垣間見える。まさしくこの曲のハイライトです。
最後のサビ。
ここがねー。本当良いんですわ。
主人公が、たった一曲の間に成長してるんですよね。
葛藤の末に『誰もが』光と陰の間を彷徨い、少しでも明るい方を目指すものである、という境地に達しちゃっている。
辛いのは自分だけじゃないんだよな、ということに気付くわけです。
で、彼が見つけた答えが「あなたを好きでいられることを幸せに思うよ」、「どこでも送ってくよ 望む場所があるなら」。優し過ぎない?
彼は自分の片想いが叶わないことを受け入れて、彼女の幸せを願って望む場所に送っていく。
これまで悩みをぶつけていた”Blue Sunshine”に別れを告げて、彼も新しい目的地へ向かっていく訳です。
ただ、結論は出てるけど彼の中でまだこの恋は過去になってないんですよ。
なぜなら、彼が幸せに思っているのは「あなたを好きになれたこと」じゃなくて「あなたを好きでいられること」。バリバリ現在形なんです。
いやー、本当によくできてる。
この曲を聴くと、片思いしてた頃の夏を思い出します。
似たシチュエーションがあるわけじゃないんですけど、近くにいるのに叶わない想いっていう切なさにすごく共鳴していた時期があったんですね。
B'zがあまり好きじゃない、という方にも是非聴いてほしい一曲です。
あなたの『あの夏』とも、もしかしたらリンクするかも。