![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141061262/rectangle_large_type_2_12efe081af63ee51b6c9152a57181cd9.png?width=1200)
本当にあったマッチングアプリの怖い話⑤せめて、人間らしく-中編-
前回までのあらすじ:
時は2018年頃。
当時28歳の僕は、出会いを求めマッチングアプリに勤しんでいた。
ある時デートしたB子さんは、恋愛経験浅め女子。
真面目で誠実な男だと良からぬ勘違いをされた僕は、彼女から二度目のデートに誘われた。
前編はこちら。
正直、二度目のデートに行くかどうかも迷っていた。
僕は彼女が思うような真面目で誠実な人間ではないし、彼女も僕のタイプではない気がした。
しかしながら、当時の僕は暇だった。
今みたいに筋トレに目覚めてなかったので…
ということで、二度目のデートは池袋。
お昼集合で水族館に行くというプランだった。
水族館に行きたい、と言ったのはB子さんの方だった。なんか、いかにもデートっぽいプランで居心地が悪い。
「こんにちは」
待ち合わせた彼女は、この間以上にフリフリした服を着ていた。
うーん、やっぱこのジャンルはあんまり得意じゃないなぁ。
「チケット取ってるんで、このまま行きましょうか」
というわけで、水族館へ。
この辺りで気付いたんだけど、B子さんの距離がやけに近い。
何だか、前よりもめちゃくちゃ距離を詰めてくる。カタールW杯の前田大然ぐらい詰めてくる。
ぶつかりそうな肩や腕を何とか回避して、カフェで休憩。
その時、B子さんが思い切ったように僕に言った。
「実は、私結構オタクっぽくて…」
うん、まあ何となく分かってた。
「実は、コスプレ活動もやってて」
「そうなんですか!すごいですね」
僕は素直に驚いた。
コスプレイヤーなんて、知り合いにはいない。
「こんな感じなんですけど」
そう言って、Twitterのアカウントと写真を見せてくれた。
フォロワー数は2,000。結構すごい。
そして、写真の方もガチ寄りのガチ。
衣装も背景も照明も、思っている以上に本気だった。
コスプレ自体も、多分似合ってるんだと思う。
普段そんなに見ないから、基準が分かんないけど。
「これまで付き合った人って、カメラ好きな人しかいなくて。
みんなめっちゃ束縛激しかったんです」
確かに、なんかそういうイメージあるな。
僕もオタク気質があるので、写真の技術とかその界隈の人の話を聞くのは結構面白かった。
色々話して、緊張が解けてきたB子さん。
ついに、彼女の本音がこんにちはする。
「実は、oilさんとコスプレがしたくて」
???
頭の中をクエスチョンマークがよぎる。
「はい?」
「いや、実は初めて会った時から絶対似合うだろうなって思ってたコスプレがあって」
どんな目で僕のことを見てたんだ。
そんな疑問も頭をよぎったけど、どんなコスプレの内容かは正直気になった。
「どんなやつなんですk」
「やってくれるんですか!!??」
怖い怖い怖い。
急に食い気味だし。
「いや、分かんないですけど。
どんなのか知りたくはあります」
すると、B子さんは満面の笑みで答えた。
「ニックです。ズートピアの」
![](https://assets.st-note.com/img/1715953295104-zXxmERyJts.jpg?width=1200)
いやいやいや。
キツネやん。
「え!人間じゃないんですかw」
珍しく草生やしてみたけど、B子さんの顔は本気だった。
「いや、ズートピアのコスプレは界隈では結構人気あるんですよ」
知らんがな。
「そもそも、動物のコスプレってどうするんですか?
鼻とかつけるんですか?」
素朴な疑問をぶつけると、B子さんは自分のスマホで写真を見せてくれた。
「こんな感じです」
そこには、イケイケな髪色で耳とカラコンをつけて男がいた。これのどこがニックなんだ。
「え、全然ニックじゃなくないですか?」
「擬人化です。
そのまんまキツネになるわけじゃないですよ」
ちょっと待てぇ。
僕の中の千鳥が声を揃えた。
ニックもジュディも、動物じゃん。
擬人化なんてしたら、「ズートピア」の「ズー」要素はどこにいくのよ。
「私はジュディをやるので、合わせやりましょう」
お前はジュディやんのかい。
うわー、やだわ。
普通にジャンプの主人公とかやりたいわ。
なんでキツネやらなあかんねん。
せめて人間らしいのをやらせてくれよ。
というか、最初からキツネが似合うと思われていたって僕は何なんだ。
その後、僕のテンションの落ち込みからデートも盛り上がらず。
その後はゆっくりフェードアウト…と思ったんですが。なんとまだ続きがあります。
次回「せめて、人間らしく」編、戦慄の最終章。