青春にケリをつけてやらぁ。
実家に帰ってくると、母校が卒業生に向けて発刊している冊子が届いていることがある。
母は、冊子をすぐには捨てない。
僕が帰省して目を通すまで、僕の部屋の机の上に置いてくれているのだ。
気が向いた時、パラパラと冊子を捲る。
それは高校と大学から、それぞれ一冊ずつ届く。
どちらも歴史だけは無駄に長いので、結構立派なものを作っている。
時々、見知った顔や名称が書いてある。
同級生や先生、僕が所属していたサークルの名前。
今も母校と繋がりがある人たちが、今の仕事や生き方について話していたりする。
僕は、こういうのに取り上げられるタイプの人間ではなかったな。
昔の僕は、今のようにポジティブではなかった。
学生時代も表向きは明るかったのでキャラが変わった訳ではないけど、性根から明るかったかと言われるとそうではなかったと思う。
そこそこに屈折していて、世の中を斜に構えて見ていた。
だから人と繋がったり、こういう冊子に載るような生き方を避けてきたのだ。
僕は今、そんな青春時代のやり残しを回収しているんだと思う。
だからこそSASUKEや跳び箱に熱中して、同じ目標に挑む仲間と繋がりを持ちたがっているのかもしれない。
母校の冊子に載るような人間じゃないかもしれないけど。
いつかSASUKEに出て、僕の中の青春にケリをつけてみせる。
そんなことを考えながら、僕は冊子を閉じた。