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【ネタバレ感想】 「あの頃。」を観ると何かに夢中だった”あの頃”を思い出せる

映画「あの頃。」を観てきました。

ある青年がアイドルにハマり、同じ趣味を持つオタクたちと出会い遅れてきた青春を謳歌する、というストーリー。
ちなみに僕のハロプロ知識はおそらく人並み程度です。

それでも僕は結構楽しめたんですが映画としては好き嫌いが割れそうな作品だな、という印象。

僕がこの作品で一番良いなと思ったのは、この作品を観ることで「何かに夢中になること」の素晴らしさを追体験できるという部分です。

この作品の中で「アイドル」はもちろん一つの大きなファクターなんですが、重要なのは何かに夢中になることで生きがいができたり、そこから友達ができたりすることなんですよね。
そこに学歴や職業、人柄さえも関係なくて。同じ物を好きになってその感情が共有できるとそれだけでずっと繋がれる仲間になれる。
その素晴らしさがしっかり描かれていたのは良かったです。

また、主人公である劔(松坂桃李)がセリフの中で「今が一番楽しい」と言い切る潔さも好きですね。

一方で好き嫌いが分かれるなーと感じたのは、作中での恋愛と"死"の扱い方。

物語の終盤にオタクグループの一人であるコズミン(仲野太賀)が病に侵され死を迎えるんですが、表面上はみんなそのことをあまり悲しまない。
もちろんみんな心の中では悲しんではいるんだろうけど、あくまでバカ騒ぎをする仲間たちであるという面を際立たせた演出でした。
ここはデリケートな問題だから、観る人の意見が割れるんじゃないかな。
僕的にはここの描き方は平気でした。

どちらかというと気になったのは恋愛の方。
ここは僕には合わなかったですね。

グループ内で寝取り寝取られ、それをグループ主催のイベントで暴露するみたいなくだりがあるんですが、個人的にはあのノリがどうも苦手で。
グループ内でいざこざがあるのはわかるんですが、それをみんなで悪ノリしてイベントで公開しちゃう、っていうのが理解できなくて。
読んでないですがおそらく原作に忠実なのかな?

ここを除くと、全体としてはよくできた青春映画です。
オタクたちの雰囲気もみんな良い。特に仲野太賀と芹澤興人は名演でした。
主演の松坂桃李が松浦亜弥のMVを初めて見たときの涙や恍惚とした表情も最高ですね。そもそも30歳超えて自然に大学生できるのもスゲー。
ヒロイン(?)の中田青渚も後輩感全開で可愛かった。小悪魔だけど。
ロッチのコカドも演技が自然でした。というか、ほぼ普段のコントの感じと同じですが。笑

あと、映画を通してハロプロの楽曲のパワーを思い知らされる。
特に本編内で重要な曲となっている「恋ING」なんて劇場出た瞬間itunesで落としましたからね。
「ロマンティック 浮かれモード」を合唱するシーンなんてミュージカル見てる気持ちになりました。笑

映像的な見所は終盤の石川梨華の卒業コンサート。
うまくカラコレした撮影素材と実際の石川の映像が噛み合っており、かなり自然に仕上がっている。

気を抜くとめちゃくちゃイケメンな松坂桃李に気付いてしまい「こんなオタクいねえだろ」と言いたくもなるけど、「中学10年生」メンバーがみんな輝いている、良作です。

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