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「サマー・オブ・84」は新世代の青春トラウマ映画

青春ホラー映画は数知れど、これは本当に怖い。

評判を聞いてNetflixで鑑賞。

STORY:
1984年夏、オレゴン州イプスウィッチ。
猟奇的犯罪の記事収集を趣味とする15歳の少年デイビーは、ひょんなことから近くの町で子どもたちばかりが狙われる連続殺人事件の犯人が向いの家に住む警官のマッキーだと思い込む。
さっそく親友のイーツ、ウッディ、ファラディとともに捜査に乗り出すデイビーだったが...。


個人的にはめちゃくちゃ面白かったです。
こういう映画が観たかった、って感じで。

思春期のトラウマってこうやって植え付けられるよね、というのを具現化した作品というか。
こういう作品って案外少ない気がしてて、いいとこを突いてるなーと思いましたね。

途中までのジュブナイル感ある空気や「ストレンジャー・シングス」とかと同じくThat's 80年代のアメリカって時代設定も最高です。
ヒロインの女の子がちょっと大人びてたりするところなんて「これこれ!」ってなったもん。
「E.T.」とか「グーニーズ」とか大好きなんで、この感じめちゃくちゃ刺さるんですよね。

主人公たちのキャラ付けもベタベタなのが良い。
ちょっとナードっぽくて思い込みが激しいけど善良そうな主人公のデイビー、大人っぽいけど下ネタと悪態ばかりのイーツ、太っちょでいじられキャラのウッディ、聡明なメガネキャラのファラディ…
これ、書き出してみて気づいたんですけどグループ構成がほとんど「スタンド・バイ・ミー」と同じですね。リスペクトしてるのかな?
イーツ役のジュダ・ルイスなんてリバー・フェニックスと顔も似てる気がしてきたし。

同じくベタで良かったのがホラー演出。
双眼鏡で覗こうとしたらこっちが覗かれてるとか、不意に窓に手がかかるとか。古き良きホラー映画って感じで。
めちゃくちゃ怖いわけじゃないんですけど、やっぱ静かになると"くるぞくるぞ"と構えてしまって、思った通りのところで恐怖シーンがくる。
この古き良き「水戸黄門」のような安心感が逆に好きでした。笑

ミステリー要素に関しては、映画を結構観ている人の方が案外ミスリードされるんじゃないでしょうか。
いかにも怪しいのは警官のマッキーだけど、あまりにも怪しすぎて本当にこいつが犯人?と思ってしまう。
その辺りの塩梅がうまいので、うまく揺さぶられました。


【ここからネタバレ】オチの強烈な怖さ&爽やかさ

で、やっぱこの作品といえばオチなんですけど。
まあ、言ってしまうとめちゃくちゃバッドエンドなんですよ。

デイビーの疑い通りやっぱり犯人は警官のマッキーだった。
しかし、マッキーは逃亡した挙句デイビーの親友ウッディを殺害し、デイビーにも消えることないトラウマを植え付ける。

マッキーがデイビーにトラウマを植え付けるシーン、これはめちゃくちゃ怖いです。
この感じ、他の映画で見た気もするんだけど思い出せないなあ。

おまけにその後ヒロインは街を出て行ってしまい、デイビーとイーツ・ファラディとの友人関係も終わりを迎えることが示唆されます。

で、この作品の何が面白いってこれだけ悲惨な結末なのに鑑賞後感がやけに爽やかなことなんですよ。

多分、人間って多かれ少なかれトラウマを持っていると思うんですよ。で、それを経て大人になる。
出会い別れもしかりで、「スタンド・バイ・ミー」も主人公たちが物語の後はつるんでいないってことが大切で、だからこそ切ないんですよね。

本作は、その雰囲気をホラーで表現しているような気がするんです。
トラウマや出会い別れがあって、思春期が一つ終わっていくというか。
その爽やかさがあるから、超絶バンドエンドでもあんまり落ち込む感じにならない。

あの開き直ったやけに爽やかなバッドエンド、いろんな人に見て欲しいな。

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