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僕と家庭教師の不思議な関係~前編~
あなたは、知り合いがセックスしているのを見たことがありますか?
実は、僕は人生で一回だけありまして。
あ、タイトルも相まってエッチな話っぽいですけど内容は多分全然そんなんじゃないです。
むしろ、ハートウォーミングなストーリーです。
中学の時の僕は、とにかく勉強ができなかった。
それは昔の記事にも書いた通り。
僕のひどい成績に痺れを切らした親は、選択を迫った。
塾に行くか、家庭教師をつけるか。
で、最初は塾に行ったものの本人のやる気が伴ってないこともあり成績が全く上がらず。
やむなく、母親は家庭教師への切り替えを選択。
確か、僕が中学3年の頃。
そして、僕の家にやってきた家庭教師。
彼はなんと、堂本光一似で178cmの長身イケメンだった。
しかも、中学時代は成績がガタガタだったにも関わらず高校で一発逆転して有名私大に進学した経歴の持ち主。
当時大学2年生だった彼は、バカでやる気のなかった僕の気持ちを最高にうまくコントロールした。
「oilくんは、何で勉強好きじゃないの?」
そう聞かれた僕は、迷わず答えた。
「面白くないからです。
学校も、授業以外の時間の方が楽しいし」
それを聞いた先生は、僕にこう返す。
「そうは言っても、絶対勉強はしといた方がいいよ」
ほら来たよ。
こういう頭ごなしの否定ばかりされてきた僕は、中学生お得意の屁理屈で切り返した。
「でも、勉強って何の役に立つんですか?」
すると、先生は何の躊躇いもなくこう言った。
「役には立たないよ」
「え?」
思わず、僕は変な声を出してしまった。
まさか即答、それも役に立たないと言われるとは。
「でも、バカだとそのうち女の子にモテなくなるよ」
な、なんだと。
「でも、今はバカでもクラスの中心にいる奴がモテてますよ」
「今はね。でも、そのうち女の子もバカな男に価値はないって気付く。
女の子って、自分よりスペックの高い人と付き合いたい願望あるから。
学歴が低いってだけで、狙える女の子の絶対数は大幅に減る」
その時の説得力といったら、今思い返しても凄まじいものがあった。
「それに、変な大学行ったらそこには変なやつしかいないぞ。
学校って、結局同じレベルの奴らが集まるから。
君がそういう学校に進んだら、バカな友達に囲まれて変な会社就職して、まともな女の子には相手にもされないまま人生終わるよ」
黙って聞いている僕に、先生がトドメを刺した。
「実際、俺モテるしね」
こうして、思春期真っ只中の僕は猛勉強に励むようになった。
よくよく考えたら先生がモテたのは多分堂本光一似の高身長イケメンだからなのだが、当時の僕はそこまで頭が回らなかったのだ。
勉強に打ち込むうち、先生と僕の距離は更に縮まっていった。
「お!テストの点数いいじゃん。
よし、今日は授業なしで漫画読もう」
こんな人に月謝を払わせていたと思うと親には申し訳ないのだが、僕の成績は順調に上がっていたため親は授業内容に何の疑問も持たなかった。
結局、先生とはモチベーターなのである。
生徒のやる気を引き出したものの勝利なのだ。
しかし、僕と先生の関係は思いもよらない理由で危機に瀕することになる。
それは、僕の両親の別居である。
かねてより夫婦仲が悪かったわけだが、ついに長年の均衡が崩れた。
僕は、母と共に母方の実家に引っ越すことになったのだ。
距離を考えると母の実家に先生を呼ぶことはかなり難しいし、家庭教師を変えないといけない。
先生と仲良くなった僕にとって、それは悲しいことだった。
しかし、この問題はイケメンの意外な一言によってあっけなくクリアされることになる。
「じゃあ、うちに来れば?」
そう。家庭教師ならぬ家庭生徒。
生徒側が先生の家に行くという新しい発想である。
僕は学校から片道2時間半という恐ろしい場所に引っ越したのだが、受験して入った手前通い続ける必要があって。
先生の家は、たまたま僕の通学経路上にあったのだ。
ということで、僕は先生の家に通うことになった。
先生の家は、通っている大学の近くだ。
当時はスマホもなかったので最初は行くのが大変だったけど、そのうち慣れた。
3階建のアパートの1階。
よくある一人暮らし用の賃貸である。
僕は既に一人でも勉強ができるようになっていたので、先生の家に行った時は半分授業、半分は遊びだった。
時々ダーツやビリヤードに連れて行ってもらって、少し大人になったような気がした。
そんなある日。
僕は約束の時間より早く先生の家に着いた。
多分1時間ぐらい早かった気がする。
それまでも約束の時間より早く着くことはあって、その時はそのまま家に入っていた。
以前早く着いたときにインターホンを鳴らしたら「そんなんいいから勝手に入ってきていいよ」と言われたので、僕はそのまま家のドアを開けた。
家に入ると、先生が女の子とめちゃくちゃセックスしていた。
あまりの衝撃に、僕は7秒ほど硬直した。
女の子が悲鳴をあげなかったら、多分もうちょっと固まってたと思う。
ちなみに、先生は爆笑していた。
数十分後、僕らは3人でコタツを囲んでいた。
先生、僕、女の子。
地獄の構図である。
「お前、はよ来過ぎやろ」
先生はニヤニヤしながら僕に言った。
幸い、どう見ても怒っていなさそうだ。
「鍵もかけず女の子連れ込んでる方が悪いと思うんですけど…」
僕が言うと、女の子が反論した。
「連れ込まれた、とか言わないで。
私が軽い女みたいじゃん」
「すみません」
秒速で謝罪する。
…僕が悪いのか?
「実際そうやん。俺ら付き合ってないでしょ」
付き合ってないのかよ!
僕は心の中でツッコんだ。
こうして、僕ら3人は出会った。
忘れもしない2005年、僕が15歳の夏である。
後編へ続く。