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期待通りに、期待以上。「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」感想
2時間43分、マジで一切退屈しない。
STORY:IMFエージェントのイーサンは、いくつもの不可能なミッションを成功させてきた。しかし、かつての監督官ユージンから、“大義のための戦いは終わりだ”と告げられる。これまでの行いは善であったのかと葛藤するイーサンをよそに、新たな脅威が迫っていた。
全部山場だと、映画ってこうなるのか
誇張抜きで、3時間近く全部山場の映画ってあるんだなーというのが最初の感想。
仕事終わりの疲れた状態で観に行ったんですけど、マジで1分も眠くならなかった。笑
これね、褒め言葉としては陳腐化もしれないんですけどめちゃくちゃスゴいことなんですよ。
ぶっちゃけ、2時間43分もあったら絶対どこかグダりますよ。
でも、この映画はそれがない。
もう要らねえよ!って思っちゃうぐらいいっぱい食べさせてくれる定食屋みたいな映画でした。
あれ、これ褒めてんのか?笑
観客を、そしてシリーズを立ち止まらせないという気概を感じた
脚本が観客の気持ちを撹乱するように組み立てられていることが、イヤと言うほど伝わる作品でした。笑
MIシリーズお得意の騙し合いも当然健在。
ストーリー面では、あの人をああすることで衝撃をしっかり担保。
しかも、それを映画のフィナーレではなく中盤に持ってきている。
ぶっちゃけシリーズの長年のファンとしては結構ショックな展開でしたけど、やっぱあれぐらいやらないと緊迫感出ないもんね。
悲しい展開でしたが、観終わった後は不思議と受け入れられましたね。
というより、僕はあの展開からトムの「MIシリーズを同じところには立ち止まらせない」という気概をビンビンに感じたんですよね。
正直、「ローグ・ネイション」「フォールアウト」はメンバーが固定されたこともあって少し毛色が似てきていたと思うんですよ。
本作も、その流れに乗っていればある意味盤石の出来にはできたはずなんです。
しかしながら、トムはそれを許さなかった。
監督のクリストファー・マッカリーもそうだったんでしょうね。
新しいことに挑戦し続ける、シリーズを増すごとに色を変えていく、というある種茨の道を選んだわけです。
この選択は、クリエイターとして称えられるべきなんじゃないかと思います。
アクションと勢いでツッコませない展開
毎度毎度思うんですけど、このシリーズのすごいところって脚本の隙とかツッコミどころを勢いで全部殺しているところなんですよ。笑
多分、冷静に観たらツッコミどころがたくさんある映画だと思うんですけど、展開のスピードと怒涛のアクションで観客が違和感を持つ瞬間を消し去っているというか。
ある種究極のパワープレイというか、THE・ハリウッド映画的な攻め方ですよね。
だって、普通に考えて列車に追いつくルートが崖の上から飛び降りるしかないっておかしいでしょ。笑
でも、観ている時はそんなことに気付かない。
イーサンとベンジーの軽妙なやり取りにやられながら、「いけ!イーサン!」としか思えない訳です。笑
よくよく考えたら、メインの筋書きなんて「ターミネーター」とかトム主演の「マイノリティ・リポート」とかと良く似てますからね。
そう考えたら、40年前に作られた「ターミネーター」ってやっぱすげえなって思います。
還暦でも戦い続ける男、トム・クルーズ
60歳を迎え、さすがにちょっと老けた感があるトム・クルーズ。
(まあ、それでも異常に若くは見えるんだけど)
しかしながら、アクションは相変わらず衰え知らず。
今回も予告でフューチャーされていたバイクごと崖から飛び降りる衝撃アクションを初めお得意のバイクスタント、1作目終盤の展開を彷彿とさせる列車上の格闘シーン、低空でのパラグライダー、破壊された線路上から落下する列車内でのアクション等、見どころモリモリ。
中でも、個人的に白眉だったのは狭い通路での格闘シーン。
前作「フォールアウト」でもトイレの中での乱闘がありましたが、今回はさらに狭い空間での戦い。説明が難しいんですけど、建物同士の間みたいな本当狭いスペースで、しかもイーサンVS敵2人の1VS2。
このシーンの際の、空間を縦に使ったカメラワークがお見事でした。なんかグリングリン回ってた。
今までに見たことない演出でしたね。
カーチェイスシーンはちょっとコミカル過ぎる気もしましたが、緩急がついていて退屈しないのはさすが。
多分、先日観た「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」よりカーチェイスシーンは長いはずなんですけど、それを感じませんでした。
これらのシーン、ほぼほぼ全部自分でやっていると思うとトムがいかにやべえ奴かわかってきますね。
「PART TWO」の撮影で死んじゃわないことを祈る。
新旧入り乱れる個性的なキャラ達
本作ではイーサン達お馴染みのメンバーに加え、かなりお久しぶりな人や数多くの新キャラが登場。
まずは、1996年の第一作以来約27年ぶりのシリーズ復帰となったCIAのキトリッジ。
そう、第一作のレストランのシーンで水槽ごと爆破されていた彼です。
観返すとトムはもちろん、キトリッジを演じたヘンリー・ツェニーも若い。
彼の存在が、作品毎にテイストを変えてきている「MI」シリーズが確かに連作であることに説得力を与えています。
今考えると、一作目の作風はかなり渋いし二作目に至ってはジョン・ウー節が炸裂し過ぎてとても同じシリーズとは思えないですからね。
そういう意味で、彼の存在は非常に貴重です。
今回、新たにチームの仲間入りを果たしたのが女泥棒・グレース。
演じているのは「キャプテン・アメリカ」シリーズでお馴染みのヘイリー・アトウェルです。
実質的に本作のヒロインとも言える彼女は、イーサンの常に自分よりも他者を想う心を体現するために必要不可欠な存在でした。
もちろんイルサ(レベッカ・ファーガソン)も大事な存在なんですけど、彼女はもうイーサンとの関係性ができちゃってますからね。
物語の展開的に、彼と初対面で人間性を知っていく人物が必要だったんでしょう。
まあ、個人的にはルックスもキャラもイルサの方が好み(お前の話は聞いてない)なんですけどね。
新キャラの中で僕が好きなのは、ポム・クレメンティエフ演じるパリスです。
なんとなくハーレークイン感があるのはご愛嬌ですけど、かわいい女性だけどめっちゃ強くてサイコ系というアニメ的なキャラってこのシリーズにあんまりいなかったから新鮮で。
最後は人間らしい一面も見えたし、なんか深掘りできそうなキャラだなーと。
続編でもまだ出番が期待できそうですし、楽しみです。
わがまま言うと、ブランド(ジェレミー・レナー)には復帰して欲しかったですけどね。
まあ、大怪我したりトラブル起きたりもあったので仕方ないですが。
こんだけ詰め込んで、まだ前編という事実
本作の数少ないマイナスポイントは、鑑賞後の爽快感が低いこと。
まあ、「PART ONE」と銘打っている通り物語が中途半端に終わるので当たり前なんですけども。
裏を返せば、これだけ要素てんこ盛りなのにまだ前編という恐ろしさも感じる。
後半である「PART TWO」には当然本作を超える衝撃アクションがあるだろうし、前後半合わせて約5時間溜めてのラストはきっとすっきりするでしょう。
「PATT ONE」ではやや弱かった爽快感を、「PART TWO」が補って余りあるほど提供してくれることを期待しています。
米国の映画業界は大規模なストライキで大分制作スケジュールに乱れが生じているみたいですが、後編が予定通り公開されることを祈る。
ちなみに、予定通りだとしても公開日は2024年の6月28日。遠い!
頼むから、これ以上は引っ張らないでほしい。