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凄いものを観てしまった。映画「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」感想

やっぱエドガー・ライトはすげえや。

STORY:
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)はロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学するが、同級生たちとの寮生活に馴染めず一人暮らしを始めることに。
エロイーズは新居のアパートで眠りにつくと、60年代のソーホーの夢を見る。
そこで彼女は歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)という女性に出会い、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。
夢の中の体験のおかげで現実でも充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返すようになる。
だがある日、エロイーズは夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。
さらに現実では謎の亡霊が現れ、徐々に精神を蝕まれていく…

ホラー×SF×青春×ミュージカル、そして60's。ジャンルの壁を取り払う作品

何が凄いって、ジャンルレスな要素をこれだけ集めた作品がキチンとまとまっていることだと思う。
これはもう監督を手がけたエドガー・ライトの天才っぷりが炸裂してるとしか言えない。

ホラーにSFや青春ミュージカル要素を加えたら、こうも新しい作品ができるのかと。
なんか、まざまざとレベルの違いを見せつけられた感がありました。

あと、この作品は観賞後の感情がめちゃくちゃ気持ち良いんですよ。
普通ホラーって後味悪く終わることが多いんですけど、この作品を見終わった後は普通に青春映画を観たような気持ち良さが残る。
ある意味、”爽やかホラー”っていう新ジャンルかもしれないですね。


映像、美術、音楽、編集。すべて高次元

誇張抜きで、この作品の演出はほぼ完璧です。

エロイーズが初めてタイムスリップし、サンディと邂逅するときの演出なんてもう最高で。特にダンスシーンの入れ替わり演出は素晴らしいです。

メイキング見ると、これ本当にワンカットなんですね。
てっきりCGかと思ったんですが、このアナログ感もまた60年代の世界観を壊してなくて良いです。
こうやって、デジタルの技術を使ってアナログを作るというのがなんともオシャレ。

音楽的なセンスは言わずもがな。あの「ベイビー・ドライバー」(2017)を撮った監督ですからね。
どの曲もオールドな魅力があるのに各シーンにピッタリだし、音楽が観客を60年代に誘っている感があるのもGood。

しかし、60年代の音楽にも精通してるってカッコ良いな。
モテるんだろうな、エドガー・ライト。


メイン女優2人が輝き過ぎている

現代と過去、2人の女優がキャリアハイと言わんばかりの輝きを放っているのも注目ポイント。

アニャ・テイラー・ジョイは「スプリット」(2016)「クイーンズ・ギャンビット」(2020)で実績あるし凄いのは十分わかってたけど、ちょっとこの作品での輝きは異常ですよ。
画面に映ると、ついつい彼女に目がいってしまう。それぐらいスクリーン映えしてました。
前述の「スプリット」「ミスター・ガラス」(2019)では地味な少女を演じてたのに。見た目の振り幅がここまであるっていうのは驚きでした。
製作が進んでるのかイマイチわからない彼女主演で作られるという「マッドマックス」シリーズのスピンオフ、早く観てえよ。

そして本作の主演、トーマサイン・マッケンジー。
「ジョジョ・ラビット」(2019)「オールド」(2021)と話題作への主演が続く彼女ですが、この作品を観て彼女が近い将来ハリウッドで天下を獲ると確信しました。
シンプルにかわいいっていうのもあるんですが、ロンドンに夢見る様子や同世代の友達に馴染めないティーンエイジャー感、そこからどんどん垢抜けていく姿、そして恐怖に歪む表情や終盤の自信に溢れた様子。
1作の中でこれだけ幅広い演技を見せれるのは凄いし、どの状態になってもかわいいし輝いているというのは素晴らしい。


ストーリーにツッコミどころはあるけど、それを気にさせない面白さ

大絶賛のこの映画ですが、ストーリーに穴がない訳ではないです。
終盤の展開や登場人物の行動がちょっとガバガバ過ぎるとか、主人公が持っている特殊能力の設定自体に無理矢理感があるとか。
ホラー的な部分で言うと、一回油断させてから「わっ!」みたいなのが続くのもちょっと食傷気味。

でも、この作品にはそのガバガバさを補って余りある魅力があるんですよ。
ミスリードが効果的に機能していて「やられた!」ってなるし、映像のトーンや音楽のセンスは何より魅力的。
60年代を再現してネオンサインが輝く街並みとかクラブの中でサンディが逃げ回るシーンとか、絵面が豪華なんでずっと見てられる。
要所要所の演出や魅せ方がうまいから、細かい矛盾とかはもうどうでもいいんじゃね?ってなるんですよ。笑

この辺り、今年の夏に観た「ドント・ブリーズ2」なんかもそうでしたけど洋画独特の絵力みたいなのがあります。

僕は、映画は総合演出だと思っています。
ストーリーに多少矛盾があっても、それをかき消す力が作品にあればあまり気にしません。
綿密にストーリーが練られた作品ももちろん好きなんですけどね。


まあ、とにかくオススメです「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」
映画ファンは必見では。




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