ギターのある暮らし#9 父とギター
とある日。
世にいう、後期高齢者の父に
(そんな事言うと、前期はどこだ?と腹を立てる父)
「死ぬまでにやってみたかったことは?」
と聞いてみると、
英語が喋れるようになりたかった
ギターが弾けるようになってみたかった
と言うので、
英語はポッドキャストを教えようかと思ったら、らくらくフォンではアプリが無理らしく、試行錯誤した結果よくわからず、ラジオで頑張れ!ってことにして、
(YouTubeもこの世代には馴染まないらしい)
ギターは私が25年前に買ったYAMAHAのギターを貸してあげる事にした。
先日、YAMAHAの新しい弦を買ったのだけれど、変える暇もなく、まあ、続くかどうかもわからなかったので、とりあえず、ギターを持っていってみた。
やってみたかった、と心が動いた時がその時だと思うので、とりあえず、渡す。
人に教えられるような技量はもちろんないが、
ペラッペラの初心者の父に、とりあえずYouTubeで学んだいくつかを伝授。
先ずは、構え方、
そして、ギターの構造、
指のおさえ方、音の出し方。
「ちゃんと習いに行かなきゃダメか…」
とか、
「ドレミはどこだ?」
なんて、言われて、
「まずは音が鳴らなきゃ、全く話にならないでしょ!」
と、一蹴。
弦をおさえて、音が鳴らせるよう練習することを勧める。
何かしら曲が弾けないとやっぱり楽しくないけれど、音を鳴らせるという事が大前提であり、結局練習する以外に、指の筋肉は鍛えられないし、指が自在に動かせるような脳みそにはならないのだ。
チューナーやカポタストやピックや楽譜など、ギターを弾くのに必要な道具は色々あるだろうけど、すべてを用意してあげるほど、私は優しくない。
だって、本当にやる気があるのか、弾けるようになる気があるのかなんて、正直わからない。
余分にそれらを持っているわけでもない。
まぁ、本気でやる気があったら、自分で買って来るだろうよ、と、
こんな練習方法があるよという事だけ伝えてしばらく放置。
コソコソっと母に探りを入れているが、
「練習?してない、してない(笑)」
だそうだ。
父に聞くと、
「ちょっと音が出るようになった。」
何がホントかはわからないけど、
まぁ、急ぐ旅でもなかろうに。
飽きる前に、本気出せよ!(笑)
父にギターの音の仕組みを教えていて気がついたことがある。
私は幼いころからピアノを習っていたので、
音階をピアノの鍵盤上で理解している。譜面も一応追いかけられる。
しかし、全く音楽に携わってこなかった父には、「ドレミファソラシド」があることはわかるが、「ファ」と「シ」が半音の関係にあること、
「♭(フラット)」や「♯(シャープ)」が理解出来ていない。
ピアノであれば白い鍵盤と黒い鍵盤で説明もしやすいが、ギターはひたすら覚えるしかない。
ああ、たぶんこの辺りで躓く人って多いんだろうなぁと思った。
ギターを貸して、2ヵ月ほど経っているが、
毎日練習していれば、とりあえず、一音一音の弦はおさえられて音が出るような指になっているはずである。
その後、簡単なコードを覚えれば、簡単な曲ならそれらしく・・・と思うけれど…
「弾かないなら、返してよ。そのギターだって思い出の大切なギターなんだから!」
と、私がいうと。
「いや、やるから!」
という父。
いつか、一緒にギター出来たらいいのに、と思っているのはきっと娘の私だけだろう。
ま、お節介しても楽しくないので、自分のペースで行こうかな。