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「いっしょなら」・・生きづらさ、孤独や不安と向き合う大人が読みたい絵本

本屋さんの「絵本コーナー」は、子供のための本で埋め尽くされてますが、大人をターゲットにした絵本・・というのが、世の中には存在します。
絵のタッチ、ストーリー、メッセージ・・・どれをとっても大人が充分な読み応えを感じ、大事に遺しておきたいと思える絵本達。

たまたま知人に教えられて手にしたルーク・アダム・ホーカーというイギリスの人気イラストレーターであり、絵本作家の代表作の一つ「Together」の翻訳版である「いっしょなら together」もそんな作品です。

私がもっと色んな人に読んでもらいたいと思った数少ない一冊です。

この本が日本て発売されたのは、コロナ禍の2021年。
当時の私は、この本の存在を知りませんでしたが、結構全国の書店にも並んでいた様です。世の中を襲う「災い」、それに伴う「ロックダウン」の様な状況を描写してるので、当時、コロナ禍に直面した人間へのメッセージ的な捉え方・売り方をされた事が安易に想像できます。

この本を2024年の今、手にとり、読ませてもらった私は、今こそ、これからこそ、日本の全ての大人に読んでもらいたいと強く思いました。

「孤独のしらべは人込みの中でこそ、いっそう音高くひびくことに。」
「おかしなことが、普通に思えてくる。」
「恐怖は困りものだ。ときどき、人を奇妙な行動にかりたてる。」
「暮らしが小さくなると、かえって心は開かれ、広い世界が見えてくる。」

・・これらの印象的な言葉が、魅力的なイラストと共に心に響いてくる。
1ページ、1ページが作品として成り立っている「アート作品」でありながら、物語が進んでいく。

短い言葉と、繊細なペン画が60数ページの紙の世界に深みを与え、自分と向きあう時間を与えてくれます。

コロナ禍以降、明らかに人の心、生活様式に変化がありました。
リモートワークや、Web会議の浸透で、仕事仲間との何気ない会話も減少し、スマホやPCの中に閉じこもる時間が確実に増加しました。
便利で楽だけど味気ない世界。

人と直接接する機会、気持ちや想いを分ちあう時間、人間関係を構築する環境や状況。それらが確実に、目に見えて、大きく減ってしまいました。

SNS等での過度な誹謗中傷、炎上、攻撃。
直接人と接し、心で感じ、通じ合う機会が減り、ネット上で他人の言動や行動に過度に反応する。負の感情をスマホやPCに打ち込み、ストレスの捌け口とする。相手がどれだけ傷つくか、自分が理不尽な事してるかは気にならない。

自分の部屋で、機械に向かってやってるだけだから。ゲームと変わらない。

物価も税金も上昇、南海トラフ等の自然災害への危機感、異常気象に政治不信、忍び寄る世界的大戦の恐れ。。そして、自身の将来への不安。

恐怖・不安・孤独。。

コロナ禍以降の世界は、便利でありながら私達の心を蝕む罠が沢山あり、
私も含め、まんまとその罠にハマってしまった状態にあると感じます。

「おかしなことが普通に思えてくる。」

それを超えた「おかしなことが常識になった世界」。

この本の1ページ、1ページが自分と重なり、そして「みんな一緒なんだ」と気づかせてくれます。

人間はそもそも群れを生す類の動物です。
「いっしょ」というのは、人間にとって本能的に自然な状態。

危機や災いに立ち向かい、乗り越えるには?
恐怖や不安て、そもそもは?
孤独とは?

この本は、色んな気づきを与えてくれます。

本屋さんでたまたま手に取り、どこかのページの絵に目がとまり、そのページに記された言葉を読む。
・・・きっと、心に刺さる何かを感じる筈です。

そして、物語と絵を充分に味わえば、とても大切な何かと巡り会えた気持ちになると思います。

この本はガイアブックスさんという出版社さんから発行されてます。
生粋の絵本出版社さんではなく、ナチュラルライフを提唱する出版社さんで、翻訳本を多く出版されてるそうです。それを考えても普通の絵本じゃないと解ります。

残念ながら、本屋さんは少なくなりました。
そもそも、大人向けの絵本の品揃えが充実してる本屋さんは希少です。
この本を手にいれるならネット書店というのが現実的でしょう。

この記事を読んでくださり、興味を持った方はネット書店でも図書館でも、手にとって、この本を読んでみて欲しいです。

私の様に感化されて誰かに紹介したくなる人が増える事を祈ります。
そして、この本が色んな本屋さんに置かれる様になり、何気なく手に取った方達が、家に持ち帰り、幾度となく好きなページをじっくりと眺めたり、何度も繰り返し読んだり、大切な誰かと共有したりする様になればいいなと願っています。



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