究極を求めて――煮るか、レンチンか
かぼちゃは何しても美味しいけど結局は煮物(という名の粉吹きかぼちゃ)だよね、と長らく思ってきた。
しかし先日レンチンかぼちゃを食べた際、強固だったはずの信念が揺らいでしまった。
別にこれが初のレンチンかぼちゃだったわけではない。
切ったのをボウルに入れ、またサイズによっては包んでいたラップ(購入当初のではなく自分で包み直したもの)のまま庫内へ放りボタンを押すだけという手軽さが好きで、過去に何度も作ってきている。
一人暮らし時代には毎日かぼちゃのためにレンジを稼働させ、チューブ生姜&ごま油一辺倒でやっていた時期もあった。ハマると飽きるまでやっちゃうのよね……。
しかし、レンチンかぼちゃは失敗のリスクも高い。
加熱時間が短すぎると角が硬いままだし、長すぎると水分が抜けてふがふがしてしまう。しっとり or ぽくぽくに仕上げるには横着せずに鍋でやったほうが良いし、煮る過程で調味料が染みて味に深みが出る。
もちろん実際に食べた上でこの結論となっていたため、長らく「煮物が基本であり至高」という態度を取り続けてきたのだ。
しかし、ここにきて電子レンジが待ったをかけてきた。彼曰く、
「吹きこぼしをしないから旨味が逃げないし、調味料が入らないから素材の味がひたすら凝縮していくのだよ」
た、確かに……(何この茶番)。
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それぞれ別日ではあるものの、同じかぼちゃを鍋/レンジの2パターンで調理し、後発のレンチンかぼちゃを口にした際に上述の説が持ち上がった。
各調理工程を説明しておくと、鍋のほうはブロック状に切ったのを醤油・酒・みりんで煮たあと粉吹きにし、レンジのほうは薄切りにしてから水をサッとかけてチン→仕上げに塩胡椒という感じである。
その結果、レンチン塩胡椒バージョンのほうが甘く、かぼちゃ味がギュッと詰まっていたのだ。
しかし結論を下すのはまだ早い。
なぜなら、今回のかぼちゃがたまたまレンジ向きだったとも言えるからだ。
例えば水気を多く含む個体だった場合、煮物だと水っぽくなってしまうが、レンジだと水分が飛んでちょうどいい塩梅になるのかもしれない。つまり今回の個体がたまたま水気が多めだったということ。
また甘みに関して言うと、レンジ版の味付けである塩胡椒がスイカに塩をかけるのと同じ役割を果たし、甘みを引き立てたとも考えられる。
煮物にも醤油は入っているものの、みりんも追加する等こちらから甘みを足しにいってしまっているし、その分量も今回の個体とマッチしていなかったのかもしれない。
レシピには重量あたりの調味料が記載されている。しかし究極的には、個体ごとの性質に合わせて調整しないと美味しいかぼちゃの安定供給はできないのだ。でもさすがに目視じゃ水分量は測れないから、1回は作ってみないといけないよね……うむむ。
とりあえず使いかけの分はすべてレンチンするとして、現在ベンチを温めている子の処遇に悩む。同じ出身地(産地)で購入時期も近いので似たような特徴な気もするが、個体が違えば少しずつ変わってくるかもしれない。
そうだ、少量からでも試しやすいレンチンから仮スタートさせよう。そのあと最終的な決断を下したいところである。