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ここで1回、千秋庵について整理しておこうじゃないか【六花亭の親戚】
明日4月29日、千秋庵総本家・宝来町本店がリニューアルオープンするらしい。
新たに新設されるイートインは5月15日のグランドオープンを待たねばならないが、物販のみの”ソフトオープン”は明日から。
リニューアルに際し、豆乳入りホイップを使ったスフレどらやき「ふくる」や、隣町七飯町のお酒・郷宝を使った「郷宝カステラ」、ラム酒とドライフルーツを入れた「あんと黒糖とラム酒の羊羹」が新たに登場するそうな。
この3つ……私得でしかないんですが。私がホイップ入りどらやきやアルコール入りスイーツが好きなこと、知ってました?(そんなわけはない)
……とここまで怒涛のように情報を提供してしまったが、道外のみなさんは千秋庵をどのくらいご存じなのだろうか。なんなら、和菓子にさほど興味がない道民でも、各地の千秋庵を一緒くたにして認識している可能性もあるかもしれない。
リニューアルオープン前の予習として、ここらで1回千秋庵について整理しておこうじゃあないか。
最初に申し上げておくと、パイ生地にあんこを入れた「ノースマン」は、千秋庵総本家ではなく札幌千秋庵の商品です。
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道内各地にある老舗菓子店、千秋庵。
洋風せんべい「山親爺」のCMを聴いて育った道民も少なくないと思う。
しかし、このCMはどうやら札幌千秋庵のほうの山親爺らしい。千秋庵総本家と札幌千秋庵のどちらにも山親爺があるのでややこしいのだが、両者は別組織なのである。
現在残っている、千秋庵の血を引く菓子店は以下の3つ、だと思う(違ったら教えてください)。
千秋庵総本家〈函館〉
札幌千秋庵〈札幌〉
六花亭〈帯広〉
「千秋庵」のはじまりは1860年。
開港都市函館で、秋田藩士・佐々木吉兵衛が菓子売りを始めたことに端を発する。
いきなり横道にそれるが、なぜ秋田藩士がわざわざ函館で菓子を立ち売りしたのだろう。下級藩士は外の世界に出て一発逆転を狙うとか、そういう流れがあったのだろうか(有識者のかた、よければ教えてください)。
その後、明治時代にのれん分けの形で小樽千秋庵が独立し、大正時代に小樽千秋庵から札幌千秋庵が独立する。
さらに、昭和初期には札幌千秋庵から帯広千秋庵が独立。この帯広千秋庵が、現在の六花亭となるのだった。
ちなみに、千秋庵総本家からは小樽のほか、旭川千秋庵と釧路千秋庵が独立しているが、3つとも廃業または合併となっており、名前は残っていない。
わかりやすい図が「北海道ファンマガジン」というサイトにあったので、引用させていただきます。
千秋庵総本家(函館市)1860-
小樽千秋庵(小樽市)1894-1997(廃業)
札幌千秋庵(札幌市)1921-
帯広千秋庵(帯広市)1933-(現在六花亭)
旭川千秋庵(旭川市)1919-2008(廃業)
釧路千秋庵(釧路市)1934-1990(札幌千秋庵と合併)
これを見ると、現在「千秋庵」の名を冠しているのはやはり函館と札幌の2つのみのようだ。そして、北海道土産の定番である六花亭がのれん分けスタートだったことに驚いたかたもいるのではと思う。ちなみに私もです(え?)。
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調べていくうちに勉強モードになってしまい、いつもよりも硬い内容になってしまった。GWなのに……こんなところでも天邪鬼を発揮してしまうとは思わなかった。
今度、冒頭で紹介した新商品をなにかしらゲットして「美味しかったよ!!」と報告する気は満々なので、そのときをお待ちいただければと思う。
もちろん、私より先にレビューしてくれてもよくってよ?(誰)
※追記
torovさんが、過去に執筆されていたご自身の記事を教えてくださいました。
こちらには、千秋庵総本家が代替わりしていった際の詳細や、関東大震災との関係性、札幌千秋庵が誕生した経緯などがまとめられています。参考資料も多いので、歴史的背景を知りたいかたはご覧くださいませ。
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